全社員に接種義務

NY市12月27 日から
PCR陰性のワクチン代替は認めず

 ニューヨーク市のデブラシオ市長は6日、市内の民間会社の出社する社員、従業員すべてに新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けると発表した。市ではすでに公務員、レストランの従業員および利用客、映画館、劇場などの娯楽施設入場やジム利用にはワクチン接種が義務付けられているがさらに踏み込む。市長は、オミクロン変異株も懸念されるなか米国初の積極的措置で、冬のホリデーシーズンにコロナを阻止し、感染を減らすための「先制攻撃」としている。

 対象となるのは民間企業約18万4000社で、オフィスなどで働く従業員は12月27日までワクチンを最低1回接種しなくてはならない。ワクチン接種の代わりに検査を受けるという形は認めない。リモートで働いている人は対象外で、医学的または宗教的理由での免除は検討する。業界団体と協議の上、12月15日までに詳細なガイドラインを発表する予定だ。

 また、レストラン利用や劇場への入場において、12月14日から5歳から11歳の子供についても最低1回の接種が義務に、大人は27日からワクチン接種完了(2回接種、ジョンソンエンドジョンソン製は1回)が義務になる。

 

次期NY市長は即断猶予
全民間企業ワクチン接種

 来年1月1日から市長となるエリック・アダムズ氏は6日時点で、これらの施策をそのまま受け継ぐかどうかについて明言していない。慎重論のある経済界の意見も汲んだ上で新たに判断するものとみられる。

 デブラシオ市長とキャシー・ホークルNY州知事は1日に記者会見を開き、南アフリカから帰国したサフォーク郡の67歳の女性など、ニューヨーク州でオミクロン変異株の症例を5件確認したと発表した。またホークル知事は、11月19日から21日までジャビッツセンターで行われたアニメNYCの参加者にも発見されたため、このイベント参加者にコロナ検査を受けるよう強く促した。

 少なくとも1回ワクチンを接種した市民(全年齢)は78%、完了者は70%ほどになっている。市内の感染率は今年6月には0・64%(直近7日間平均、以下同じ)になるなど鎮静化、州は昨年3月以来の緊急事態宣言を解除した。しかし11月に入ると2%を超えるなどしたため26日に緊急事態を宣言、最近は3%近くで推移、12月4日時点で2・88%となっている。1日の感染者数で見ると、6日時点で直近28日間平均1507人に対し、直近7日間平均は1975人となっている。

 米国では1日にカリフォルニア州で最初のオミクロン株の感染者が発見されて以来、6日までに少なくとも17州で確認されている。バイデン大統領の首席医療顧問を務める米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ氏は「時期尚早だが、オミクロン株の症例は比較的軽度であるようだ」としている。

 米国は6日までに少なくとも1回ワクチン接種をした人が71%、完了が60%となっている。毎日平均1321人(直近7日間平均)が死亡している。