高市早苗首相とトランプ大統領、習近平国家主席とトランプ大統領との首脳会談が相次ぎました。会談の格付け、長さ、合意内容などから、日米関係は米中関係と異次元の関係にある印象が残りました。
この印象は、9月15日から北京で開催された香山フォーラムに参加して実感しました。この会議には約百カ国から国防大臣、制服組幹部、外交官、シンクタンクなど約2000人が参加しました。米国などNATO主要国を含む数十か国の幹部と中国軍の幹部との対話も並行して行われたと言われます。武力行使があったと言われるイラン軍幹部とサウジアラビア王子との間や、武力衝突中のタイとカンボジアの国防大臣間の公開質疑も起きました。「対立がある時こそ対話が重要」がこの会議の理念です。
日本政府関係者は不在でした。2024年のシンガポールのシャングリラ会議での木原稔防衛大臣と中国の董軍国防大臣との会談が防衛大臣間の最後の接触と言われます。今回は、鳩山由紀夫元首相がこの董軍国防大臣と立ち話を行いました。鳩山元首相と私は、6月にイスラエルとイランの軍幹部の直接対話を実現した英国のシンクタンク代表のフランス人元大使の招きで参加しました。9月29日に岩屋毅前外相が中国の王毅外相と会談したのは朗報です。
最も重要なのは首脳同士の交流です。日本の首相の訪中は2018年の安倍晋三首相が最後で、中国の国家主席の来日は2008年の胡錦濤主席が最後です。他方、近年トランプ大統領を初めとするG7諸国やEU首脳、国連事務総長も含め、西側諸国首脳のほとんどが訪中しています。加えて、本年は長年の敵対国インドのモディ首相が訪中し、習近平主席がインドを訪問しました。ウクライナや中東での戦争に関して中
国が仲介的な役割を果たしていることも、これらの背景にあります。
最も基本的な問題があります。日本が隣接する中国、ロシア、韓国、北朝鮮の中で、北朝鮮とは国交が無く、ロシアとは平和条約がありません。完全な外交関係があるのは中国と韓国だけです。韓国とは近年首脳同士の訪問が復活しました。中国と首脳間の相互訪問が無いことは日本の国益に反します。党派や首相個人の姿勢を超えた対応が必要です。日中関係を、懸案事項があっても交流を行なえる次元へと再建することは、日本のみならず、世界全体の共通益でもあることを、中国での会議で確信しました。
ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー。慶大卒。国際ICや難民を助ける会等の民間外交活動を経て国会議員、民主党国際局長、財務副大臣等を歴任。現在、国際IC日本協会理事、岐阜女子大特別客員教授、東アジア共同体研究所特別研究員。英国在。

