Opus 40〜採石場のアースアート

 ホワイトプレーンズから北へ車で約1時間半、ウッドストックとソーガティーズのほぼ真ん中に位置する「オーパス40」。遠くにキャッツキルの山々を望む採石場に作られた「オーパス40」は屋外彫刻公園と紹介されることが多いが、実際は敷地一帯がアート作品になっていて「環境彫刻」あるいは「アースアート」と呼ぶ方がふさわしい。一人のアーティストが37年かけて作った未完の大作「オーパス40」へいざ行かん。

ハーヴェイ・ファイト(1903〜1976)ハドソンバレーにあるバード大学在学中に演劇と出会い、大学を3年で中退、各地を旅する劇団に所属。その後、当時前衛アートの中心地だったウッドストックのシアターカンパニーのメンバーになる。俳優としてキャリアを積む中、ある日突然彫刻に目覚める。やがてバード大学に招かれ美術学部創立に参加、彫刻の教授となる。1938年、彫刻材料を手に入れるため廃業した採石場を購入。ホンジュラスのマヤ遺跡修復作業に参加したことをきっかけに、採石場の使い方を再考。マヤ人の技術を応用して採石場に残されていた古い手工具を使い、棚田、傾斜路、歩道など全て手作業で建設する。スタジオで作成した作品を置くための舞台を構築するうちにそれ自体が彫刻になっていることに気づき、後の人生をこの新しい彫刻の概念に取り組み続けた。Opus 40の敷地内で芝刈り機を運転中、採石場に転落し、翌日亡くなる。享年73歳。

Opus 40 総面積50エーカー。大小様々な大きさの石を組み合わせた迷路のようなメインステージのほか、ファイトの彫像作品、土着の道具のコレクションを展示する博物館、ギフトショップ、トレイル、フェイトのスタジオ(非公開)などがある。この大きなプロジェクトに取り組んだ当初、フェイトは特に名前をつけていなかったが、1970年代初頭にバード大学教授を退任した後、「Opus 40」と命名。Opusはラテン語で仕事を意味し、40は彼が仕事を完了するために必要だと予想した年数を示す。フェイトは37年目に不慮の事故で亡くなったため、未完となっている。彼の死後、妻バーバラはOpus 40を保護・管理するため非営利団体を作り、一般公開を開始した。現在は野外彫刻公園のほか、ユニークな空間を使ったコンサートやパフォーマンス会場、結婚式場としても人気がある。2001年に合衆国国家歴史登録財に指定された。

 4月から11月までの金〜日のみ開園。午前11時から午後5時までの開園時間を3つに区切り、事前予約制。入場料は大人12ドル、学生・シニア9ドル、4才以下無料。ピクニックエリアがあり、飲食持ち込み可(フードトラックが出店するコンサート開催時は不可)。ギフトショップでは水とクッキーのみ販売。公共交通機関:マンハッタンからバス(https://trailways.com/)で2時間弱Kingston下車、ウーバーやリフト利用(約11マイル)。またはアムトラック(https://www.amtrak.com/home.html )で1時間40分Rhinecliff下車、ウーバーやリフト利用(約16マイル)。


Opus 40  

50 Fite Rd.

Saugerties, NY 12477 

電話:845-246-3400

opus40.org