永住権者の国外退去と米国入国禁止令

 今年になってから、永住権保持者が国外退去をさせられたという記事が多くの新聞やオンライン・ニュースで報じられています。5月14日のニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、5月7日までに約2890件が査定され、少なくとも50人の永住権者が国外退去を命じられたそうです。500件はまだ審査過程にあるとのことです。

 国外退去の対象になるのは、次のような犯罪を犯した人たちです。

・殺人や殺人未遂など重罪を犯した場合

・違法ドラッグの密輸や販売

• 売春行為や売春の斡旋をしたことがあるか

• 人身売買の陰謀を企てたことがあるか

• スパイ活動や、諜報活動、輸出管理規制違反をおこしたことがある

• テロ活動に関わったことがあるか

 上記が大半の理由ですが、その他にも軽犯罪に含まれる場合も注意が必要です。

• 小売店で、数回、商品の万引きをして逮捕されたことがある

• 政府への反対抗議デモに参加したことがある

• 飲酒運転で数回逮捕されたことがある

飲酒運転で1回ぐらいの逮捕ですと大目に見られることもあるようですが、複数回の違反は退去の対象になる恐れが大きいです。

 永住権保持者でさえ国外退去の対象になるほどですから、現在永住権を申請している途中の人たちは、要注意です。まず重罪を犯した人たちが永住権取得は無理ということは理解されていると思います。ただし、飲酒運転や万引き行為は軽犯罪ということで大丈夫と思っていられるかもしれませんが、軽犯罪と言っても軽く見ないことをお勧めします。警察から指示された通常6か月ぐらいのボランティア活動で無罪になったりしますが、法廷や警察での記録は残ります。

 また、永住権申請とは関係がないのですが、非移民ビザ申請の方々で注意をしていただきたいのは、アメリカ入国を禁止された国に商用や旅行で訪れたことがある場合です。現在、39か国の人々がアメリカ入国を完全または制限的に禁止されています。ビザ申請をしている人たちで、これらの国々に過去5年以内に行ったことがある場合、アメリカに入国できなくなる可能性があります。なお、観光での短期滞在でも禁止国からの旅行者はアメリカ入国が許されません。ワールドカップが来月アメリカで開催され、全世界からサッカーファンがワールドカップを観にくることが予想されますが、これら39か国の人々は、アメリカの入国を禁止されているので、ワールドカップにも観客として参加することができません。

(加藤恵子/ニューヨーク州弁護士)