NYで思い出に残るアフタヌーンティー


 皆様こんにちは。ティータイムアドバイザーの林原真澄です。今春帰国することになり、このコラムも今回が最終回となります。これまで読んでくださいました皆様、ありがとうございました。
 さて、最終回にどこをご紹介させていただこうかと迷いましたが、やはりこちらをお伝えすべき!と思いまして、バカラホテルでのアフタヌーンティーにいたしました。自宅から近いこともあり、イギリスや日本から友人が来ると時々出向いておりました。実は、このコラムの初回はバカラホテルでの朝食と紅茶で、いつか特別感のあるティータイムとしてアフタヌーンティーをご紹介しなくてはと思っておりました。そこで先日、7年間のニューヨーク生活の思い出にと、改めて夫と出かけました。
 バカラホテルはミッドタウン、NY近代美術館(MoMA)のお向かいにある黒いモダンな建物です。3か所ある真ん中の入口から入りエレベーターで2階に上がると、目の前がランチやアフタヌーンティーをいただくシャンデリアがきらびやかなグランドサロンです。赤白黒を基調にしたインテリアは華やかさとエレガントさにあふれています。予約時にリクエストしておいた窓側の席に通してもらい、私が勝手に王様の椅子と呼んでいるファーの椅子に座ります。
 アフタヌーンティーは、特別なシャンパンと合わせたキャビアティーと言われるひとり600ドル (!)を含め数種類あるなか、一番一般的と説明があるプリンスオブウェールズ(90ドル)を選びました。内容はキャビアやロブスターの文字がメニューに並ぶ5種類のセイボリー、洋ナシのジャムとクロテッドクリームが添えられたスコーン、5種類のスイーツに好みのお茶を選びます。夫はホテルお勧めのアールグレイ、私はダージリンファーストフラッシュをお願いしました。カナダ、モントリオールのティーカンパニーであるカメリアシネンシスのダージリンファーストフラッシュ、上質で素晴らしくダージリン好きの方にお勧めするに十分値します。このアフタヌーンティー、隣の夫からこの値段ならお寿司でもいいかもね…の声が聞こえてきたような気もいたしますが、わたしはお値段に見合う美味しさと素敵時間であることは間違いないと思います。
 ニューヨークに来る前の10年間、ロンドンに住んでおりました。紅茶を学び、教え、紅茶会社でアンバサダーを務めるという紅茶中心の日々でした。ニューヨークに住み始めたころ、果たして美味しい紅茶やアフタヌーンティーを楽しめる場所はあるのだろうか、と思ったこともありましたが7年間ニューヨークに住んで実感したのは、もちろんあります。それも、紅茶文化の本場以上にセンスあふれる美しく楽しいティースポットがたくさんありました。お一人で、あるいは大切なご家族やご友人と、ニューヨークでのティータイムが皆様の幸せな時間になりますように、心から願っております。

Baccarat Hotel Grand Salon 
13:00〜16:00
28 W.53rd St.(bet. 5th & 6th Aves.)
Tel: 212-790-8867
www.baccarathotels.com

■はやしはら・ますみ=10年間ロンドン在住、5年間英国の紅茶会社でアンバサダーを務める。英国ならではの伝統あるティー文化を軸に、独自のセンスを加えたティータイムのおもてなしを提案。現在マンハッタンで紅茶クラスを開講している。www.masumienglishtea.com/ Instagram: masumi english tea