新たな変異株出現か

新たな変異株出現か

 ミズーリ大学のマーク・ジョンソン博士らの研究チームはニューヨークの下水から新型コロナウイルスの「不可解な」変異の跡を4種類以上発見したと発表した。新たな変異株出現の潜在的兆候となる。「ニューヨークの廃水で検出された不可解なSARS-CoV-2系統の追跡」という研究で、査読付きのジャーナル「Nature Communications」に2月3日に掲載された。

 研究はジョンソン教授(分子微生物と免疫学)とニューヨーク市立大学クイーンズ校の生物学部のジョンソン・デニー教授が主導して行っているもので、研究チームは2020年6月からニューヨーク市内の14か所の下水処理場から採取して調査を行っている。ウイルスのRNAを分離後、PCR検査でコロナウイルスゲノムの欠片を培養してこの変異を確認した。最初に確認したのは昨年1月で、世界中のウイルスを追跡し掲載しているデータベースGISAIDEpiCoVにもこの変異の系統は確認されていない。

 昨年以来、この変異跡を持つものが毎週同じ下水処理場から繰り返し確認されている。その間にデルタ株やオミクロン株が出現したが、この系統のものは地理的には限定されており広がっていないようだという。ジョンソン博士らは、人間由来の可能性は排除しないが、下水道のネズミなど動物由来の可能性もあるとしている。