東京茅場町の画廊、コンテンポラリー・ヘイズは、5日から公開中のアーモリーショー2025に出展している。本展では、戦後日本の抽象表現に国内外から新たな光を当ててきた4人の作家、菊畑茂久馬、桑山忠明、内藤楽子、前田信明の作品を展示している。作域・活動の拠点も異なる彼らは、素材や空間との対話を通じて独自の表現世界を築いてきた。九州派やもの派、カラーフィールド・ペインティング、ミニマリズム、プロセス・アートといった国内外の動向と共鳴しながらも、しばしば見過ごされてきた豊かな芸術的系譜の一端をなしてきた。
写真上は桑山忠明(1932〜2023年)の作品。東京藝術大学で日本画を学んだ後、1958年に来米し、以後ニューヨークを拠点に活動。61年にはグリーン・ギャラリーでデビュー、色面による制作は絵画の概念を解体するものとして、ミニマリズムの嚆矢と評価された。66年にはグッゲンハイム美術館で開催された「システミック・ペインティング」展にも招待され、高い評価を受けた。アクリル、自家製紙テープ、メタリックやスプレーペイント、アルミニウムパネル、工業用顔料などの素材と向き合い「意図された余白と空白の力」といった静謐な表現に宿る美を追求し続けた。
(写真上)Tadaaki Kuwayama Untitled, 1968 Acrylic, 3 canvas, aluminium122 × 121 cm
60年代の日本の抽象表現いまNYで再び問う

コンテンポラリー・ヘイズ(東京都中央区日本橋)は、9月5日より一般公開となったアーモリーショー2025に戦後日本の抽象表現に国内外から新たな光を当ててきた4人の作家、菊畑茂久馬、桑山忠明、内藤楽子、前田信明の作品を展示している(1面に記事)。常に革新性を伴う実験的な探求を重ねてきた面は高い評価を得ながらも見過ごされてきた豊かな芸術的系譜の一端もなしている。
菊畑茂久馬(1935ー2020)前衛美術集団「九州派」の創設メンバーの一人として、福岡を拠点に活動。1966年にはMoMAの「The New Japanese Painting and Sculpture」展にも出品され、国際的に注目を集めた。83年以降に発表した代表作《天動説》シリーズでは、エンコースティック(蜜蝋)技法で後進の日本の作家にも今なお大きな影響を与えた。本展では、抒情詩的な作風を色濃く反映した《天動説》《海宮》《月光》を展示している。
桑山忠明(1932ー2023)はアクリル、自家製紙テープ、メタリックやスプレーペイント、アルミニウムパネル、工業用顔料などの素材と向き合い、「情報やジェスチャーのない純粋な色と形」や「意図された余白と空白の力」といった静謐な表現に宿る美を追求し続けた(1面)。
内藤楽子(1935ー)は東京藝術大学で日本画を学び、58年に夫・桑山忠明とともにニューヨークへ拠点を移し活動を開始。1970〜80年代には「Flowers series」を発表する。1990年代以降は和紙や木、綿球など自然素材を用いた「ペーパー・レリーフ」シリーズを展開。
前田信明(1949ー)は熊本を拠点に活動。70年代には「もの派」や「ミニマリズム」といった国内外の動向に影響を受けながらも、純粋抽象絵画の可能性を追求し続け、深く複雑な色彩の層と空気感を生み出した。
同画廊の代表取締役、平山智一さんは「今回の展示は現代美術における国際的な対話のなかで再評価されるべき重要な視座を鑑賞者へ与えます。特に菊畑は、ジャパニーズ・ジャスパージョーンズと呼んでいい影響を次世代に与えた作家。また今回ニューヨーク在住の内藤さんも元気な姿で来場され、創作活動にますます精力的に打ち込んでおられることを嬉しく思いました」と話していた。 (三浦)

