藤田真央、カーネギーホールでソロリサイタル

 ピアニスト藤田真央のソロリサイタルが25日夜、カーネギーのアイザック・スターン・オーデトリアムで開催された。藤田は3歳でピアノを始め、15歳で東京千駄ヶ谷の津田ホールにて初リサイタルを開催。以降日本各地やヨーロッパで定期的に演奏会を開催するほか、ショパン国際音楽祭(ポーランド)など国際的な音楽祭に招待されて演奏している。現在24歳の藤田は、ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学でキリル・ゲルシュタインに師事している。

 藤田のカーネギーホールデビューとなった今回のソロリサイタルは観客の過半数を米国人が占めた。黒いスモックを着てステージに現れた藤田は穏やかな笑顔を浮かべ、飄々とピアノに向かい、椅子に座ると同時に1曲目のモーツァルト「デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲」を弾き始めた。続いてモーツァルトの「ピアノソナタニ長調」、リスト「バラード第2番」、インターミッションを挟んでブラームス「主題と変奏ニ短調」、クララ・シューマン「3つのロマンス、作品21」、ロベルト・シューマン「ピアノソナタ第2番」を演奏した。

 素晴らしい演奏技術がありながら、それを誇示することなく、とても繊細でしなやかに、時に大胆にピアノを奏でる藤田には「自然体」という言葉がとても似合う。全てのプログラムを終え、登場時と同じように飄々とステージを去る藤田に観客は惜しみない拍手と歓声を送り、再登場した藤田はモーツァルト「ピアノソナタハ長調k545」など3曲のアンコールで応えた。練習曲としてお馴染みのk545を藤田は実に軽やかに、しなやかに、そして楽しそうに演奏し、ホール全体が笑顔で満たされ素晴らしいひとときとなった。(東海砂智子)