編集後記
みなさん、こんにちは。ニューヨーク市のマムダニ市長は7月27日、市が新設する公営食料品店「NYCグローサリーズ(N.Y.C. Groceries)」で、生鮮食品や肉類など主要食料品を一般的な小売価格より30%安く販売すると発表しました。物価高で増大する市民の食費負担を軽減する狙いで、所得にかかわらず全利用者が割引の対象となるという画期的なものです。
割り引きされるのは、野菜と果物の全品、肉、魚介類のほか、牛乳、卵、チーズ、パンなど約20種類の主要な保存食品や冷蔵食品。これで市は、利用世帯の食費全体を平均15%削減し、月約90ドル、年間約1000ドルの節約につながると試算しています。
一方、既存のスーパーや小規模小売店からは、税金で支えられる店舗との価格競争は不公平で利益が侵害されるとの懸念の声が出ています。また、記者会見では、大量買い占めによる転売にどう対応するのかという質問も出ました。
一律公平に富を分配するという一見公平に見える共産主義的施策ですが、消費者を優先するあまり、業者をないがしろにする組み立てに実施までに歪みが出ないか心配です。世の中得する人がいれば、損する人が必ず反対側の天秤の皿に乗っかっています。あちらを立てれば、こちらが立たず、世の中ゼロサム社会で連通管の水みたいなものです。資本主義の骨組みを無視した発想に、旧ソ連時代のコルホーズ、ソフホーズという社会科で教わった言葉を連想しました。トランプ大統領がマムダニ市長を共産主義者呼ばわりした理由がなんとなくコレかと思った次第。
日本で仮に東京都が経営する公営スーパーが池袋や新宿にダイエーやイトーヨーカドーより3割安く売る食料品店を出店したらどうなるでしょう。なんとなく複雑な混乱が起こるのは、議員でなくとも小学生でも想像できます。国が生協を経営するようなものです。やってみてダメだったらなかったことにしてもらうという簡単なものではないですが、マムダニ市長は張り切っています。こういうのをAIは、活力とでも訳すのでしょうか。まあ、蓋を開けてみないと分からないこともあるので、一消費者としてはまずはお手並み拝見といったところです。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)
