編集後記 6月20日号

みなさん、こんにちは。クオモNY州知事は17日の記者ブリーフィングで、ニューヨーク市も22日(月)からフェーズ2に移行する予定であることを正式に発表した。知事と市長の意見が対立する場面があり、迷走するかにも見えたが、22日からニューヨーク市ではなんとかフェーズ2に入りそうだ。建物内収容人数を5割以内に限定。社会的距離を維持、エレベーターは、マスク着用などの制約を受けながらの再開となる。さて、海外に住む日本人にとって気になるテーマは、今週の1面トップで報道した日本政府によって国民に支給される1人10万円の「特別定額給付金」について。海外在留邦人は給付対象外とする答弁書を決定したというニュース。日本政府が9日の閣議で、決定したと日本国内でも報道されたが、実は今なお自民党内には「在外邦人も対象にすべきだ」との意見があり、同党の岸田文雄政調会長は今月5日、日本国民1人あたり10万円を支給する特別定額給付金の対象に海外在住の日本人を加える方向で調整していることも明らかにしていた。菅義偉官房長官は記者会見で「海外に在住する方々にどのように適正な給付をするという問題もあり、関係省庁で課題を整理している」と述べている。これは、4月27日、自民党の青山繁晴参院議員が代表幹事を務める党内の保守系議員グループ「日本の国益と尊厳を護る会」が、新型コロナウイルスを受けた経済対策に関する要望書を岸田政調会長に提出した中で、海外在住の邦人から同氏に対し「私たちは捨てられたのか」「日本国内の外国人には給付があるのに、同じ同胞なのに海外にいるというだけで給付がないのは日本国民としておかしいんじゃないか」という声が寄せられたと明かしていた。米国では、コロナ生活支援対策として納税者1人に一律1200ドルが既に給付されていることもあり、在外者は現金給付すべき対象にはあたらないとの指摘もあったという。政治の世界、決めたと思ったことが審議の中で一転二転することはままある。在外選挙で投票しても、海外の声が国会に届かないのでは意味がない。海外有権者も投票権という権利の施行達成だけで喜んでいる場合ではない。海外投票率が低いのも目的意識が低いからだ。日本政府に海外在住邦人の存在感を海外有権者の声として伝える努力をしないと、今回のように肝心な時に忘れられてしまいそうになる。日本の給付金の海外在留邦人への支給については、今週号は経過報告として、引き続き、海外からも成り行きを注目していきたい。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)