子供の感染に要注意

川崎病に似た症状3人死亡

 ニューヨーク市のデブラシオ市長は10日、川崎病に似た小児性多臓器系炎症性疾患を起こした子供が38人に上っていると発表した。そのほか9人が検査結果待ちとなっている。

 発症者の47%は新型コロナウイルス検査で陽性を示し、陰性患者のうち81%は抗体を持っていた。この病気の兆候は、継続的な熱、発疹、腹痛、嘔吐などで、血管や心臓の炎症を招くこともあるなど、川崎病や毒素性ショック症候群との類似が指摘されている。

 市はこのような兆候が出た子供全員に対して抗体検査を実施することを決めた。親に対しては、こうした兆候が子供に見られないか注意を呼びかける。

 クオモ・ニューヨーク州知事は同日、州内で85人がこの疾患を発症している可能性があると発表。これまでに5歳の子供や小学生など3人が死亡しており、これとは別に関連が疑われる2人の死亡例も調査中という。

 イギリスやイタリア、フランスなどでも「不完全型川崎病」として症例が報告されている。一方、日本川崎病学会および日本川崎病研究センターは7日、「本邦および近隣諸国では現時点で川崎病とCOVID-19との関係を積極的に示唆できるような情報は得られていない」との声明を出している。

 川崎病は川崎富作博士が名付けたことからこの名がある。おもに乳幼児がかかる発熱性疾患で血管壁が炎症を起こす。小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群とも呼ばれる。まれな病気に入るが、もっとも多いとされるのは日本で2018年に1万7364人を数えた。米国では年に5500人ほど。ウイルスなどの感染症なのか自己免疫疾患によるものなのかなど原因は解明されておらず根本的な治療法はないが、症状を軽くしたり、冠動脈瘤ができないようにするための治療が可能だ。死亡率は0・05%程度。(関連記事と医師の解説4〜5面に)