カッコいい男をNYで創る 下飼清史さん

マスターバーバー理髪師

 このほど日本からニューヨークに、プロ中のプロと言える理髪師がやってきた。下飼清史 (しもかい・きよふみ)さん(56)。北海道函館市で34年間経営した自分の店を閉めて、先月ニューヨークのヘアサロン、ミングルSOHO ニューヨークに新設された理容部門の責任者として着任した。

 北海道では札幌市役所、全日空ホテル、DAIDO生命ビルなどの理容室勤務を経て1993年に父親が経営する理容シモガイに入社、4年後に独立し、2002年には日本初のスポーツバーも開業するなど事業を拡大、2005年にワールド・バーバー・クラシック審査員なども務め、若手指導などに関わり多くの弟子たちが日本全国で活躍している。子育てに追われながらも地元コミュニティーに根差した「町の床屋さん」として若者から年配まで世代を超えた市民に愛される理容室を築き上げた。その手腕を買われて今回ニューヨーク行きが実現した。

 ニューヨークには、25歳の頃から6回も個人旅行で来てはいたが、海外勤務は初めて。5年間は「日本の理容室の素晴らしさをここNYで知ってもらうことが最大の使命」という。理容師の世界では、馴染みのお客さんが3代続いて店に来てくれたら良しとされるそうだが、下飼さんは、ひ孫まで4代の髪の毛を切ってきた。「誕生日、七五三、結婚式などその人のいい人生の記念日に寄り添える仕事です」と笑顔を見せる。イメージチェンジしたいという若者の髪をカットしたら彼女ができたと言って喜ばれたこともあるそうだ。「お客さんから、ありがとうと感謝されるのが何より嬉しいですね。理容は時代のトレンドの仕事だとは思いますが、時代の先を行くのと同時にその人に合ったスタイルを提案するための引き出しをいっぱい持っていないとダメな仕事でもあります。髪型は生き方に対するスタイルだと思います。その人の持つポテンシャルを引き出すのが仕事ですね」と話す。

 日本で培った理容師・理髪師としての本筋が背骨を貫く。日本理髪の精密さでオーソドックスな日本人ビジネスマンとして国際舞台のどこに出ても恥ずかしくない現代的なヘアスタイルはもちろんお手のものだが、流行のヘアスタイルでその人に合ったポジティブな髪型で店からプラスにして送り出すのが仕事だ。日本の本場の理容室で培ったフルシェービングも男女共に人気だという。書道五段、剣道初段、国際空手協会黒帯と多彩な特技も持ち合わせている。「理容とはカッコいい男を創る」と見つけたり。

    (三浦良一記者、写真も)