新会長に加納さん

米国日本人医師会

50周年晩さん会開く

 米国日本人医師会(JMSA)の創立50周年記念晩餐会が9日夜、ニューヨーク・アスレチック・クラブで開催された。同会は、米国在住の日本人医師及び医療関係者を中心として1974年に創設された。2期4年を務めたロバート柳沢会長は、コロナ感染パンデミックで米国内最悪の感染地域となったニューヨークにおける医療活動でリーダーシップを発揮した。

 柳沢会長の後任として、加納麻紀医師が新会長に就任した。加納会長は、マウント・サイナイ病院、東京海上記念診療所ハーツデール診療所で25年以上にわたりニューヨークを中心とする在米邦人に対して日本語による医療を提供し続けている米国小児科学会および米国内科学会の認定医=19面ウーマン欄に記事=。

(写真上)米国日本人医師会会長の就任スピーチをする加納さん

 式典でニューヨーク総領事の森美樹夫大使が、邦人医療を支え地域社会に貢献してきた同会の50年の活動に対して心からの感謝の言葉を添え祝辞を述べた。また長年にわたり同医師会に多大な支援をしている北米伊藤園の本庄洋介社長、柳沢前会長、ジーン古山元会長に感謝の盾がJMSAから贈られた=写真上=。

 同医師会は、将来医学の道で社会貢献する医学生たちに奨学金を授与して支援しているほか、アウトリーチ・プログラムにより、地元の日系医療関連NPOと支援意欲を持つ企業や個人をとつなぐ活動をしている。東日本大震災直後には医師たちが被災地に行き人的支援を行うなどの社会貢献活動もしている。当日は日系医療従事者、研究者、留学生ら185人が出席した。エンターテインメントとしてジャズピアニストの宮嶋みぎわとゴールデンミラクルズがジャズを演奏して参加者を楽しませた。

JMSA奨学金受賞者

米大学で学ぶ医学生を支援

■本庄JMSA奨学金=▽シャーロット・リー=日本での研修生のための米国レジデンシー申請プロセスのコツと留意点。(コロンビア・ニューヨーク・プレスビテリアン病院循環器科フェロー)、▽藤野えりな = ソーシャルメディアを利用した JMSAとそのミッションの広報活動(ノースカロライナ大学医学部医学生)、▽鈴木幸雄=在米日本人がん患者の支援と、在米日本人コミュニティーのがん予防啓発活動の推進。米国における日本人コミュニティーのためのがん予防啓発活動(コロンビア大学産科婦人科学教室婦人科腫瘍学部門ポストドクトラルリサーチフェロー)。

■村瀬紘郎MD-JMSAスカラシップ=▽ニコラス・ラブ =皮膚科領域における日本語表記の歴史を調査し、日本人の皮膚病理学を系統的に検討する。(カリフォルニア大学デービス校レジデント)。

■米国三井物産JMSA奨学金=▽宮下浩孝=医療ブログとソーシャルネットワークサービスを通じた現役フェローの経験談の共有により日本では普及していない専門分野とそのトレーニングへの理解を深めるためのサービス(マウントサイナイ・ベスイスラエル・アイカーン医科大学研修医)、▽木村あつみ=COVID-19パンデミックにおける日本人と日系アメリカ人が反アジアの感情を共有し、議論するためのバーチャルミーティングシリーズを立ち上げる。(アルバート・アインシュタイン医科大学医学生)、

▽岸田みずえ =小児蘇生トレーニングにおけるオンサイトとオフサイトのハイブリッド遠隔シミュレーションの有効性、医学生を対象とした小児蘇生訓練におけるハイブリッド遠隔シミュレーションの有効性(フィラデルフィア小児病院 シミュレーションフェロー)▽木村れをな = 日系アメリカ人の高血圧管理に関する教育および血圧検査イベントの開催と血圧測定イベントの開催(ストーニーブルック大学ルネッサンス医科大学3年次と4年次の間の研究学年)。

■日本生命JMSAスカラシップ=▽大嶽浩司=遠隔医療を利用した医療情報共有のためのグローバルプラットフォーム開発(スタンフォード大学医学部臨床情報管理学修士課程在学中)、

▽ 宇仁暢大= がんやその予防に関する正しい知識を共有するためのワークショップの開催(メモリアル・スローン・ケタリング癌センターにて博士研究員として勤務)

■西岡JMSA 奨学金=▽永吉詠舞=日本人および日系アメリカ人の高校生を対象とした医療分野でのアウトリーチのプレゼンテーション/オリエンテーション(ウィスコンシン医科大学医学生)、▽藤村紗奈=患者および病院従業員に対する音楽療法プログラムの実施(アルバート・アインシュタイン医科大学医学生)、▽ウチヤ志織=医療分野に関心を持つ日本人・日系人学生への働きかけと指導を続ける。医療専門職を志す日米の学生への働きかけと指導の継続(フィラデルフィア・オステオパシー医科大学医学生)、

■レイモンド・セキグチ MD-JMSA 奨学金=▽クリス池田 – アメリカの医師と患者のためにオステオパシー・マニピュレーティブ・メディスンの価値を広める(NYITカレッジ・オステオパシー・マニピュレーティブ・メディスン医学生)。     (敬称略)

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