投票率低い在外選挙 開始25年何も変わらず

全18回投票の男性「もう疲れた」

 日本で7月20日投開票の参院選が行われる。海外に住む日本人にも「在外投票」が行なわれた。しかしその投票率は低い状態が続いている。

 在外投票制度は2000年の衆院選から比例選で導入され、2007年参院選以降は選挙区選も対象となり、さらに昨年10月の第50回衆院選からは最高裁判所裁判官の国民審査も可能となった。

 外務省の海外在留邦人数調査統計によると海外に住む日本人は約129万人(2024年10月時点)で、有権者は102・5万人と見られる。総務省によると、昨年の第50回衆院選(10月27日投開票)時点での在外選挙人名簿登録者数は9万5472人で、登録者1割に満たない。うち投票したのは約1万7403人で、投票率は18・23%(比例代表)だった。102・5万人を母数とすると、実質の投票率は1・7%ほどである。

 在外投票率(比例代表)が最高だったのは、在外投票が初めて導入された25年前の2000年の衆院選の29・07%で、最低は2003年の15・93%。2000年当時の在留邦人数は約81万人でこの25年で1・6倍の約129万人に増えている。在外投票率は10〜20%台と低調のままだ。

 在外投票率の低さの原因には投票のしにくさが挙げられている。在外投票は、総領事館など近くの在外公館に赴いて投票できるが、公職選挙法で在外公館での投票期間を公示翌日から投開票の6日前までと定められており、在外公館まで遠距離の人も多いため投票期間の短さがネックとなっているようだ。また、国際郵便で投票用紙を日本の自治体から取り寄せ返送する郵便投票は間に合わないことが多く、もう一つの一時帰国して投票する方法はごく一部の人に限られる。

 総務省の有識者研究会は2018年に在外投票に限ってネット投票を認めるよう求める報告書をまとめ、調査研究事業を開始したが、進展はほとんど見られない。2023年には立憲民主党と日本維新の会が、公示・告示の翌日から投票日前日までスマホなどで24時間投票できるようにする「ネット投票法案((インターネット投票の導入の推進に関する法律案)」を衆院に提出した。逢沢一郎衆院議員(自民)を会長とする超党派の「在外投票を推進する議員連盟」も作られている。しかし、ハッキングや不正アクセス、個人情報漏洩などのセキュリティー面と、強制的な投票の恐れなどを懸念する慎重論は根強く、国会での議論は進んでいないのが現状だ。