どうする相続登記の義務化、住まいの終活

JAAヘルスフェアに参加

日本の最新事情
山口里美氏がオンラインで解説中

 NY日系ライオンズクラブ企画、第15回JAA春のヘルスフェア「ライオンズ大学・大人の教養シリーズ第6弾」の講演が、4月22日から5月10日(水)まで、インターネット(YouTube)での配信を行っている。4人の講師が連続して各30分の講義を配信し、一度の申し込みで自由に視聴できる。(共催・NY日系人会・邦人医療支援ネットワーク、後援・在NY日本国総領事館)。

 講師は、ファーストブランド(本社大阪市、河本扶美子社長)が運営するマイベストプロトプロに登録の山口里美氏(一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事)が「どうする?相続登記の義務化〜住まいの終活」と題して講演している。

 山口里美さんは「相続登記の義務化」に伴い、どのような手続きの変更が生じるのかを解説した。まず相続登記義務化のポイント、国に土地を返す「国庫帰属制度」を説明、相続した土地の放棄は危険で住まいの終活として今からできることについて話した。

 日本には相続した土地を登記する義務がこれまでなかったため、日本全国に所有者不明の土地、荒れ放題の土地が、面積にして410万ヘクタール、ほぼ九州と同じ広さ、国土の20%ほどあり、それが北海道ほどの大きさになろうとしている。これを打開するために政府が所有者不明の土地を国に戻す制度もスタートする。相続登記をしていないと直ちに売却することができない、土地に建物を建てる際にも支障が生じる、不法登記の原因にもつながるなどのマイナス要因が生じる。 

 所有者不明土地の問題点は、所有者を探すことに多大の時間と費用がかかること、共有者が多数いると土地の管理や利用に必要な合意ができないなどだ。

 登記義務に従わない場合、今後は、罰則が制定される。義務化前に相続した不動産も対象となることに注意が必要だ。相続による不動産取得を知った日から3年以内に相続登記しない場合、10万円以下の過料の対象となる。住所変更も登記も義務化され、2年以内に手続きをしなければ5万円以下の過料の対象になる。ただし、救済措置として、相続発生後、すぐに相続登記を行えない場合に、相続人であることを申し出ることで相続登記を行う義務を免れる制度があることも知っておくと便利。

 引き継いでも仕方ない土地を相続のタイミングで手放すことができる新たな仕組み「国に土地を返す国庫帰属制度」が生まれた。この制度はすでに今年4月27日から開始されている。申請できる人、申請することができない土地、費用などがかかるなどの細則があるので注意が必要。制度の申請ができるのは、相続や遺贈により土地の所有権を取得した人のみで、売買などで自ら積極的に取得した土地は対象外。

 住まいの終活として今からできることは(1)相続登記が済んでいるか確認(2)遺言や民事信託など生前対策も可能(3)不動産を売却・寄付などで手放すことも対策の一つとなる。まずは、自分の置かれている状況に隠れたリスクがないかをチェックすることが大切だとアドバイスした。 

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