野口英世95回墓参会

ガーナ、メキシコも参加
医学奨学金も授与

野口英世

 日本が生んだ世界的細菌学者、野口英世(1876〜1928)の偉業を讃え、遺徳を後世に伝え、米国で医学の道を志す若き日本人研究者を応援することを目的に墓守り活動を続ける「ニューヨーク野口英世記念会」(HNMS、本間俊一代表)が21日、ブロンクスのウッドローン墓地で95回忌野口英世墓参会と第5回NY野口英世記念奨学金授与式を開催した。

 記念会副代表の加納良雄さんの司会進行で、本間代表が挨拶、野口の荒れた墓を日本人医師会とロックフェラー大学が協力して守って行こうと2013年に同記念会を設立した経緯などを紹介。

 ニューヨーク総領事の森美樹夫大使は祝辞の中で外務省でかつてアフリカ会議を担当したことに触れ「野口博士の偉業は日本の外交官や議員の間でも大きな功績として受け止められており、亡くなった地のガーナ、永眠しているニューヨークで偉業を顕彰する活動を日本総領事館としてもサポートしていきたい」と述べた。

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 野口が黄熱病の研究で多くの命を救ったメキシコの在ニューヨーク総領事館、バネッサ・オルテガ領事が、同会の医療奨学金の継続に感謝の言葉を述べた。続いて野口英世が黄熱病ワクチンの開発の最中、これに罹患して命を落とした所縁の国、ガーナのダニエル・キングスレー・ニューヨーク総領事がスピーチした。同総領事は「人類も国家もお金のために働くが、使ってしまえば後には残らない。人類に残せるのは歴史で、歴史に残る名前は良い名前と悪い名前があるが、野口は最大級の良い名前でガーナ国民の誇り」と称えた。

 米国日本人医師会のロバート柳澤会長が、野口博士の生まれ故郷である福島県猪苗代にある野口英世記念会の倉根一郎理事長からのメッセージを代読した。式典には、野口が在籍したロックフェラー大学のティモシー・P・オコーナー副学長、ウッドローン墓地のミカエル・レイノルズ会長、メグ・ヴェントルード事務局長が参列した。コロナ禍のパンデミックで3年ぶりの一般公開での墓参会となり、一般の参加者も墓前に献花する姿がみられた。

(写真)前列左から金井さん、本間会長、キングスレーガーナ総領事、森NY総領事、加納副会長

野口の墓の前で奨学金授与の盾を持つ金井さん

抗マラリア薬研究
金井さんに奨学金

 第5回ニューヨーク野口英世記念奨学金受賞者にコロンビア大学大学院のデービッド・フィドロック博士研究室で抗マラリア薬耐性の研究に打ち込んでいる金井麻里子(かない・まりこ)さん(26)が選ばれた。金井さんは大阪生まれの東京育ち。大学進学時に来米し、2017年コロンビア大学生物学科を卒業。同年9月から同大学院の博士課程に進んだ。奨学金審査委員の間でも高い評価を受け、研究分野でも将来の成果に大きな期待が寄せられているとして審査委員会の加納麻紀医師と樋口聖コロンビア大学上級研究員から盾が贈られた。金井さんは「将来はもっと深くマラリアなどの薬の分子メカニズムなど専門知識を増やしグローバルなスケールで医学分野に携わっていきたい」と受賞の喜びを語った。