猛煙一気に建物充満

子ども8人含む17人死亡

ブロンクス・アパート火災

 ブロンクス区181丁目で9日午前11時ごろ、19階建てアパートで火事があり、子ども8人を含む17人が死亡した。当局によると63人が負傷し、32人が病院に搬送された。そのうち15人は重体だという。電気ヒーターの故障が出火の原因とみられる。火事はアパート2階から発生したが、防火扉が作動せずに、煙が一気に上の階に広がったと見ている。建物にはスプリンクラーの設置が行き渡っていなかった。消防局長は「かつてないほどの煙が発生していた」と述べた。現場は市警46分署のすぐ近くで、通報後、消防士約200人が出動した。隊員たちは梯子車で各階に入り、階段の吹き抜けで煙にまかれて倒れている犠牲者を発見。心肺停止状態の人々を外へ運び出した。

 火事の翌日昼、現場前でエリック・アダムズNY市長と市消防局のダニエル・ニグロ消防局長らが記者会見した。建物は1972年に建設され低価格住宅プロジェクトで市が管理しているため、市長は、「住居を失った人は新しい住居や埋葬の費用など、必要なものは何でも用意する」と支援を約束。火事が起きたブロンクス地区はイスラム系移民の多い地域で、火事の影響を受けた住民の多くは、もともとガンビアからアメリカへ移住してきたと考えられている。会見ではガンビア駐米大使も立ち合いスピーチした。キャシー・ホークル・ニューヨーク州知事は「悲劇の一夜」だとし、生存者の支援のために被害者補償基金を設置すると約束した。アダムス市長は、移民であるかどうかに関わらず、火事の影響を受けた人は当局に援助を求めるよう促した。また、住民の情報が移民局に渡ることはないと断言した。義援金の受け付けも開始した。

(写真)火事の翌日、建物前で記者会見するアダムズ市長(写真・三浦良一)