俳 優
松本 涼花さん
2歳の頃、父が仕事でニューヨークに行った際に買ってくれた映画『アニー』を観て、主人公アニーに憧れを抱いた。その後、両親に連れて行ってもらった日本版ミュージカル『アニー』にさらに感動し、舞台に立つことを志すようになる。
8歳から歌・ダンス・演技のレッスンを始め、9歳でミュージカル『アニー』(青山劇場)にテシー役として出演し初舞台を踏んだ。舞台に立つことの楽しさと、表現することの魅力を知った。自分の生きる道をまっしぐらに進んでいる挑戦者たちには共通する一つの体験がある。それは幼少期に強い自分を支えて生きていけるだけの大きなきっかけを持っていることだ。松本さんもそうだった。
12歳からはギターのレッスンを受け始め、中高時代は音楽活動にも積極的に取り組む。青山学院大学在籍時代に再び演劇への情熱が芽生え、出演した舞台『NIPPON CHA! CHA! CHA!』(KAAT)と、その演出家、山田うん氏との出会いをきっかけに、海外で活躍するアーティストたちと交流する機会を得る。コロナ禍直前の2年生の終わりの時だった。もともと興味のあった海外留学への思いが強まり、舞台芸術の本場、ニューヨークで一から演技を学び直すことを決意。HBスタジオに入学し、専門課程「Hagen Core Training」を修了。現在はOPT(実務研修)としてニューヨークを拠点に活動中だ。
OPT期間中は、ミュージカル、ストレートプレイ、短編映画、即興劇、歌唱イベントなど多ジャンルにわたるプロジェクトに参加。キャバレー形式の音楽ショーやニューヨークの芸術祭にも出演し、日英バイリンガルを活かした役や、身体表現を中心とした作品にも取り組み、表現の幅を広げてきた。また、短編映画主演に加え、コマーシャルなど映像作品にも携わり、幅広い分野での表現を経験している。
2024年には、日本の文化を身体表現で伝えるアーティストグループ「Edamovement Lab(エダムーブメント・ラボ)」を仲間と立ち上げた。第一弾プロジェクトとして、日本の七福神にインスピレーションを受けたダンス作品『The Seven Gods』を企画・共同演出・出演。今年春、ニューヨーク・イーストビレッジのレゾボックスで公演し、両日満席の中、日米の観客から好評を得た。ジャパン・パレードにも出て演技したので見た人も多いはず。今後は、言語に頼らない身体性のある表現を軸に、ダンス・演劇・音楽の垣根を越えた創作活動を展開していきたいという。
アニーへの憧れもあってニューヨークに来て4年。「ここでは皆が年齢には関係なく人生を現役で生きているのを実感できる」NYの良いところだと思った。ブロードウエーのアニーにいつかアメリカで出演するのが夢。周りを見て、「メンタルを強く、自信、コンフィデンス、やり切る力を見習わなくてはと思う。どんな状態でも自分は受ける。やってみたらどうにかなる」。若いエネルギーに溢れている。東京都出身。 (三浦良一記者、写真も)