乳がん患者を日本語で支援

SHARE 日本語プログラム代表
ブロディー愛子さん

 ブロディー愛子さんは、1977年に来米し、スクール・オブ・ビジュアルアーツのテキスタイル科を経て米系繊維企業で働いていた。2001年に乳がんを経験したことをきっかけに13年、SHARE日本語プログラムを設立した。これまでにサポートした日系人の数は700人を越える。17日(水)、日本クラブで講演する。活動について聞いた。
(聞き手:本紙・高田由紀子、写真・三浦良一)
     
■日本語プログラム設立
 SHAREは乳がん患者支援を目的に1976年にNYで発足した非営利団体で、95年に卵巣がん患者への支援も開始しました。自分ががんになり、SHAREの活動を身近に体験して行くうちに、私たち日本人は周りに伝えられない心情がたくさんあると感じました。日本人特有の周りに迷惑をかけたくない、我慢して当たり前と思っている部分です。同じ経験をした日系人が支え合うコミュニティーとネットワーク作りが必要だと痛感したことが日本語プログラム設立につながりました。
■いま必要なものは
 米国の医療システムに日本の習慣やモラルを重ねて治療を受けようとして、そのギャップの大きさにカルチャーショックを受ける方がたくさんいます。ところが現在の日本人コミュニティーには米国の医療システムの情報を患者目線で提供できる団体がありません。日本語で加入できる健康保険、日本語での医療通訳、日本人医師は存在しますが、それらを繋ぐ団体が必要だと思います。今後、日本語プログラムがより充実した活動を続けるためには雇用という形で人材を確保しなければできないと実感していますし、そのための運営資金が必要です。
■今後の課題
 さまざまな方がサポートを必要とするなか、初歩的なところから助けを必要としているのは、夫の駐在に帯同してきた主婦たちです。右も左も分からない外国で、夫と家庭を支えながら奮闘する彼女達は夫の仕事に支障を与えないように振る舞い、夫はそれを会社に伝えることはありません。100%理解していないまま米国で治療を受けるのか、家族と離れ離れになって日本で治療を受けるのか。企業がこの現状を意識的に受け止めることで、改善できるのではないでしょうか。
■講演会
「経験者が語る 知って欲しいNYの医療システム」17日(水)午前10時30分から日本クラブ(西57丁目145番地)で開催。カルチャーの違いがもたらす問題点とその対処の仕方などを語る。
 参加費5ドル、日本クラブ・JCCI会員無料。 申し込みは電話212・581・2223、Eメールinfo@nipponclub.org