
映画「国宝」が11月22日と23日、ニューヨークで限定上映され、李相日(りさんいる)監督(51)と主演俳優の吉沢亮さん(31)が舞台挨拶した。
同作は、吉田修一の同名小説を映画化。任侠の一門に生まれながらも歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の50年を描く。日本では6月公開以来、観客動員数1207万人、興行収入170億円を突破し、邦画史上に記録を残す勢いの話題作だ。8月に第98回アカデミー賞国際長編映画部門の日本代表作品に決定、これを受けてロサンゼルスとともに同上映が行われた。
22日の映画関係者向け上映会には約100人が参加。李監督は、15年ぐらい前からある女形の役者のストーリーを映画にしたいと構想を練っていたと明かし、「歌舞伎というより一人の芸術家の生き方を感じ取ってもらいたい」と語った。吉沢さんは1年半ほど歌舞伎の所作を練習して役づくりに臨んだと言い、「喜久雄として歌舞伎を踊ってくれという監督のリクエストがあった。本当の歌舞伎は、舞台で涙を流すなど、あそこまで感情的ではないと思う。舞台が日常にも沁み込んでいく感覚で、何十年もの人生を演じ分けた」と役づくりについて説明、「役者として、嫉妬や到達できないものは僕自身もある。そして、明確な評価ができないなかで良し悪しは自分の感覚で決める。そういう点は、喜久雄に共感できた」と語った。
レセプションでは鑑賞者が次々に二人と会話を交わし、「映像、演技、音楽、何をとっても美しかった」「俳優がこのように伝統芸能の技に挑み、身体を鍛えたことに感動した」などの称賛の声が聞かれた。二人は、22日夜はアンジェリカ・フィルム・センター、23日はジャパンソサエティーでの上映にも立ち会った。
李監督の作品がアカデミー賞への日本代表作品に選ばれたのは「フラガール」(06年)以来。アカデミー賞は予選を経て授賞式は3月15日。映画「国宝」はニューヨーク市では来年早々に劇場公開予定。(小味かおる、写真も)
(写真上)kokuhou_109_20240503_1679_ret_t_copyright_1920

