クイックUSAアメリカの人事部(9)

Don’t be silent ~アメリカの人事は差別との闘いである

■誰もがショックを受けた 

 弊社が位置するTorranceでも中心街にあるDel Amo Shopping Centerが古いバスやコンテナで封鎖され、バリケードが張られた。空には取材のためのヘリコプターの音が鳴り止まず、街には頻繁にパトカーや救急車のサイレンの音が鳴り響いた。

 お客様からはLootingの被害にあったという連絡も入った。この事件はテレビの中の話ではなく、すぐ身近で起こっていることを感じた。

■アメリカの人事は差別との闘いである

 以前に本稿で触れたかもしれないが、アメリカの人事は差別との闘いが生んだと言っても過言ではない。それは、日本での人事コンサルティングとアメリカでの人事コンサルティングを通して経験した一番の違いだ。日本でも米国型の職務ベースの人事制度、成果主義の導入といった言葉が聞かれた時代があったが、差別を避けるために職務ベースで報酬を決めるアメリカとそれを真似て年功序列で報酬が上がってしまったシニア層の人件費削減をしようとする日本の人事の意向とはあまりに差がありすぎた。今回の事件は、アメリカの人事のベースが差別をいかに回避すべきかという思想で創られてきたことを示す端的な出来事だったのではないかと思う。

■職場に戻る従業員にどんなメッセージを出すか?

 少しずつ職場も再開が見られる中、マネジメントはどのようなメッセージを従業員に出すべきだろうか?弊社のお客様の中でも社内外に向けたメッセージをインスタグラムに掲載した企業もあった。マネジメントはどう考えるのか?人事のベースとなるのはEmployee Handbookだ。もう一度会社のメッセージがその中に組み込まれているのか確認をしてみよう。(つづく)

( Philosophy LLC 代表  山口 憲和)

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