ブレア元首相がトランプ大統領擁護 海外日本人サポート

 英国のブレア元首相が、最近の論文でトランプ大統領を以下のように擁護しています。「大統領はイラン攻撃への英国の『参加』は求めなかった。英国基地での米軍機の給油を求めただけだ」、「NATOの解体を要求したのではない。防衛費増額を求めただけだ」、「英国に不可欠な同盟を維持するには、困難な時も、不人気な時も、共にいることだ」、「米国民は、政治の現状維持を望んでいない。既存メディアからの批判やスキャンダルにも耐え忍び、支持層が離れない。好き嫌いは別として」

 1か月前にチャールズ国王が米国議会でトランプ大統領をさとした演説とは真逆です。論文は、スターマー首相の進退問題で内輪もめの労働党への警鐘が目的です。「政局」より「政策第一」を訴え、今後の国の方向性も提言しています。

 私が元ブレア首相を評価するのは、英国を含む各国の、対立していた首脳達と一緒に政治活動や政策提言を行っていることです。英国保守党のメージャー首相との地方分権に関する提言、米国ブッシュ大統領との中東政策に関する共同論考、ドイツのメルケル首相との国際会議での共同行動など多数です。

 米国でも、退任後は政党の異なる大統領の間でお互いを評価し合うことが常です。レーガン大統領とクリントン大統領や、ブッシュ大統領とオバマ大統領などです。フランス、ドイツ、イタリアなどでも退任後に異なる政党の首脳同士が協働する政治文化が存在しま

す。日本にはそうした政治文化が無いのが残念です。

 しかし、トランプ大統領は歴代の民主党大統領を痛烈に批判するのに加え、共和党のブッシュ大統領やマケイン、ロムニーなどの大統領候補も批判しています。先人の良き文化も既存政治として否定しているようです。他方、中国、ロシア、イスラエルなど独裁的な首脳への批判は皆無です。対外関税戦争や対イラン戦争による国民生活の下落で支持率が激減し、共和党議員からの批判も急騰していますが、逆にますますKing化しているようです。

 ブレア元首相がトランプ大統領を擁護したのは、大統領の国際的孤立の回避を目指したものと思われます。

 分断を深める世界の中で、大統領が、米国内だけでなく自由主義諸国の中でもKing化することはあまりにも危険だからです。米国の有権者の判断も問われる年です。

ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー(英国在)。慶大卒。国際MRA(現IC)や難民を助ける会等の和解・人道援助活動を経て国会議員、財務副大臣、民主党国際局長、等を歴任。現在、国際IC日本協会理事、岐阜女子大特別客員教授も兼任。