アート・スチューデンツ・リーグ版画展  野田正明さん

70年代に来米した日本人芸術家

 昨年、アート・スチューデンツ・リーグは創立150周年を迎えた。戦後のアメリカンアートを代表するジャクソン・ポロック、ロバート・ラウシェンバーグ、ジョージア・オキーフ、ジェイムズ・ローゼンクイスト、日本からは高村光太郎、国吉康雄などが在籍した米屈指の名門美術学校だ。

 1977年に同校に留学した野田正明は、リトグラフを、インストラクターに就任したばかりのマイケル・ペレティエリから、エッチングをマイケル・ポンス・デ・レオンに学び、翌年エリザベス・カースティアーズ奨学金を得て1981年まで在籍した。当時同校には、シルクスクリーンのクラスはなかったので、チャイナ・タウンのロフトで自主制作していたという。

 現在、同校で「アブストラクト・ペーパー(Abstract on Paper)」展が開催されており、展示作品10点のうち野田のリトグラフの作品「Untitled」(1978年)=写真右上=とシルクスクリーンの作品「エコー」(2001年)=同下=の2点が展示されている、

 版画家として在学中から、ニューヨーク、シカゴ、ボストン、フィラデルフィア、テキサスで個展を開催し、国際コンペでも数々の賞を受賞してことから異例の扱いをされるのも当然といえば当然で、1979年 第31回ボストン全米版画展で、買い上げ賞受賞、10軒の画廊からオファーを受け、全米各都市で個展を開催している。ニューヨークの主要美術館であるメトロポリタン、ホイットニー、ブルックリン、グッゲンハイム、MoMAの推薦を受け82年にアーティストとして永住権を取得。

 2012年に刊行された同校の歴史「A History in Art – A Timeline of The Art Students League of New York 1875-2012」で137年間の歴代の代表作家であるポロック、ロスコ、ドナルド・ジャッドらと共に紹介されている。2016年には「Modern Printmaking」(310ページ)で野田作品やシルクスクリーン制作プロセスが6ページに及んで掲載されるなど華々しい経歴だ。アメリカ版画作家協会(SAGA)副会長・審査員。展示は5月24日まで。 (三浦)