史佳、魂の競演

ロン・カーターとカーネギーで実現

 新潟とニューヨークを拠点とする三味線プレイヤー史佳が2度目のカーネギーホール公演「ブレークスルー」を17日開催した。津軽よされ節で始まり、津軽あいや節では母であり師匠の高橋竹育との親子演奏、秋田荷方節、津軽じょんから節と伝統的津軽三味線をたっぷり聞かせた後、第二部でスペシャル・ゲストとしてジャズ・ベースの神様と言われるロン・カーターが登場した。土井晩翠作詞・瀧廉太郎作曲による「荒城の月」が、カーターのベースとニューヨーク総領事、山野内勘二大使のピアノ、そして史佳の三味線が哀調をおびたメロディーを一つに重ねた。(写真上:山野内大使のピアノ、ロン・カーターのベースに即興で魂を乗せていく史佳(右)(写真・GION))

 カーターのソロ「ユー・アー・マイ・サンシャイン」は聴衆を飲み込み、オリジナル曲「タイトロープ」では3弦の三味線と4弦のベースによる世界初の共演「7本の弦の邂逅〜Seven Strings Encounter」が実現した。今回もパーカッショニストの和田啓が参加している。総合司会は元NHKアナウンサーの久保純子さんが務めた。

 公演後、2年前と同様、エグゼクティブプロデユーサーを務めた大坪不動産社長、大坪賢次氏主催のレセプションとディナーが関係者を集めカーネギーホール近くのエンパイアステーキで開かれた。

演奏後のレセプションで鏡開きをする主催関係者

 山野内大使は「今回の公演を日本人として誇りに思い、音楽ファンとしてロン・カーターとの共演を楽しみ、総領事として日米文化交流に感謝する」と祝辞を述べた。カーター氏は「音楽はすべての人のためにある。友人の史佳と初めて舞台演奏し、短い時間ではあったがその才能の素晴らしさに驚嘆した」と絶賛した。

 史佳は「即興の醍醐味を興奮と緊張の中で楽しんだ。偉大な経験を積むことができ人生最高の思い出になった」と語った。 (三)