NYアジアン映画祭で「JOINT」上映

「JOINT」小島監督が舞台挨拶

ポスター画 上岡拓也

 第20回ニューヨーク・アジアン映画祭(NYAFF)が8月6日から22日まで市内2会場で対面形式とバーチャル形式で開催されており、13日夜、日本から参加している長編映画「JOINT」の小島央大監督と俳優兼エグゼクティブプロデユーサーのキム・チャンバさんが来米して舞台挨拶した。同映画は今年11月末に日本で上映され今映画祭でコンペティション部門にノミネートされている。(写真:舞台挨拶で会場からの質問に答える小島監督(左)とチャンバさん(中央))

 内容は刑務所を出所して東京に戻ってきた半グレの石神武司(山本一賢)が、ベンチャービジネスに介入して足を洗おうとするも、クリーンな世界と複雑化した犯罪界に挟まれ、自らの生き方を選択しなければならない葛藤を描き、現代日本社会の裏で暗躍する群像をあぶり出す。

 小島監督は「ヤクザでもなく堅気でもない中途半端ばな男の生き方を見つめた。半グレは、半分グレー(灰色)、半分グレているなど色々な解釈があるが、のけ者にされる人たちの生きる姿を力強さを持って描きたかった」と話す。

 同監督は26歳の若さ。これまでCMや音楽ビデオの作成経験はあるが長編作品に挑戦するのはこれが初めて。1994年神戸生まれ。3歳から13歳までニューヨークのローワーイーストサイドで育った帰国子女映画監督だ。東京大学建築学科を卒業後、映像に転身したという異色の経歴の持ち主でもある。「日本に帰国してもう10年になるので日本人ですけど、13歳で帰国した時の違和感が、この作品を外国人目線で捉え、いいものに発展させる上で役立ったかもしれない」と話す。

小島監督(右)とチャンバさん

 小島監督と共に来米したキム・チャンバさん(35)は、韓国では商業作品に出演している俳優だが、日本映画で演技するのは初めて。作品の中ではデータ犯罪ビジネスに関わる韓国焼肉店主の相棒役を演じた。本作では映画制作のための資金集めを担ったエグゼクティブプロデューサーとしても関わっている。「いろんな人に見ていただけたら光栄です」と舞台挨拶で語った。

 主役の石神武司を演じた山本一賢は、オーディションで採用された。俳優になってまだ日の浅い役者だが、70年代の人気テレビドラマ「傷だらけの天使」でオサムを演じた若き日の萩原健一をどこか彷彿させる雰囲気は、小島が「個性が光っていて、居酒屋で知り合って映画の話で盛り上がって、いつか大きな作品に出てほしいと思っていた」と惚れ込んだキャラクターだ。手垢がついていないだけ国際スクリーンへのチャンスも無限大と見た。(三浦良一記者、写真も)

バーチャル視聴はこちらhttp://bitly.com/3CP722b