鈴木竜也と大橋未歩 「無名の人生」NYAFF

 北米最大のアジア系映画祭、第24回ニューヨーク・アジアン映画祭(NYAFF)が27日に閉幕した。鈴木竜也(りゅうや)監督(31)の長編アニメ「無名の人生 JINSEI」がUncaged Competitio-For Best Feature Film部門に選ばれ、いわゆる作品賞にノミネートされ、25日にマンハッタン・チェルシーのSVAシアターで北米初上映された。

(写真:上演会場で観客に挨拶した声優の大橋未歩(右)と鈴木竜也監督)

 主人公の100年の人生を描き、置かれた環境で呼び名が変わることで人生のステージを象徴し、アイドル、芸能界、高齢者の事故、格差、戦争など日本社会の問題を背景に描く。大手メディアで表現するのは困難な衝撃作だ。 

 鈴木監督は東北芸術工科大学卒。上京し就職するが辞職し、人間観察の最適な場所の歌舞伎町のバーで働くもコロナ禍で暇になり、独学でiPad でアニメ制作を開始。短編アニメが自主映画祭で受賞する。仙台の実家に戻り、こもって全編を1年半かけて一人で描き、音楽や編集も自身で手がけた。クラウドファンディングで資金を集め、映画祭の審査員だった岩井澤健治監督がプロデューサーに。鈴木監督は上映前に本紙のインタビューに「Uncaged Competition に選ばれたことはとても嬉しいです。初めてNYに来まして、好きな映画を考えみたらNYが舞台になっているものばかり。今立っている場所も何かの映画の舞台になっていたかと思うとワクワクします。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」に出てくるブルックリンブリッジ、ホアキン・フェニックスのジョーカーが踊ったブロンクスの階段に行ってみたいです」と映画青年の顔を見せてくれた。

 主人公の声はラッパーのACE COOL、他に津田寛治、中島歩、毎熊克哉らが出演。映画内でアナウンサー・さくらの声を担当したNY在住のフリーアナウンサー大橋未歩さんも上映後のQ&Aに登壇。鈴木監督は「さくらは大橋さんしかいないと思ってオファーしました」と語った。また観客から画面サイズの変化についての質問があり、映画館で観る迫力を考えて制作したと答えた。

 残念ながら作品賞は逃したが、監督は「実写も撮りたいし、クレヨンしんちゃんの監督もしてみたい」と語り、若手監督の今後の活躍が注目される。本作は現在、日本で劇場公開中。 (菊楽めぐみ、写真も)