編集後記 6月26日号

編集後記
 みなさん、こんにちは。米国郵便公社(USP)は6月3日、第二次世界大戦中に米国のために戦った日系兵士たちを讃える記念切手「Go for Broke(当たって砕けろ)」を発行しました(本紙今週号1面に記事)。ヨーロッパ戦線で米部隊救出作戦に大活躍した日系二世442部隊のほか陸軍情報部(MIS)、第1399工兵部隊、陸軍省情報局や陸軍病院看護婦として従軍した日系男女約3万人の勇気と米国へ貢献を示すものです。絵柄はハワイの日系兵士の戦時中の写真をモデルにした活版印刷風のデザインで、英語の文字が日本語の縦書きをイメージして縦に寝かせてレイアウトされています。現代的なシール切手ですが、輪郭は直線ではなく、昔ながらの波状で古風な雰囲気を出しています。通常切手(フォーエバースタンプ)として現在全米の郵便局で1枚55セントで販売されています。442部隊は、士官などを除くほとんどの隊員が日系米国人の若者により構成されていました。先祖を同じくする日本人の親族や帰国した兄や弟などとの兄弟同士の殺し合いを避けるため太平洋戦線には投入されずヨーロッパ戦線に投入され、ドイツ、イタリア枢軸国相手に勇戦敢闘しました。特にこの部隊の活躍を全米に響き渡らせたのが米軍テキサス大隊の救出作戦でした。ドイツ軍に包囲された絶体絶命のテキサス大隊の211人を救出しますが、第442部隊の56人が戦死し、約800人が負傷しています。救出直後、442部隊とテキサス大隊は抱き合って喜びましたが、大隊のバーンズ少佐が軽い気持ちで「ジャップ部隊なのか」と言ったため、442部隊の日系少尉が「俺たちはアメリカ陸軍442部隊だ。言い直せ!」と激怒して掴みかかり、少佐は謝罪して敬礼したという逸話が残っています。永住者の子供はもとより、帰国することが分かっている駐在員の子供の中にも、アメリカで生まれ、小学校、中学校とアメリカの学校に通い、そのまま米国の大学などを出てアメリカで社会人として生きている現代の日系2世も多いはず。日本の文化と米国の魂を持つ日系二世は、これからさらに日米の掛け橋となる重要な資質を持ち合わせています。本人たちのきっと多くが、日米のために役立つ仕事に将来は就きたいと思っているのではないでしょうか。1枚の切手を眺めながら、日本とアメリカという関係性以上に、日本と日系アメリカ人との関係性をこれまで以上に密にできる紙面もまた必要だなと感じました。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)