ウイルス検査は症状ある人だけ

CDCが指針を変更

 米疾病予防管理センター(CDC)は8月24日、新型コロナウイルスの検査ガイドライン(指針)を、感染者との濃厚接触後も症状のない人は必ずしも受ける必要はないと変更した。米厚生省のブレット・ジロワー次官補は記者団に、無症状感染者の検査が早すぎるとウイルスを確認できず、安全だと思い込んでしまうことで感染拡大につながる可能性があるためと説明した。また「新型コロナウイルス対策タスクフォース(作業部会)の助言を受けている」と述べた。

 これまでCDCは、感染者から6フィート(約1・8メートル)以内に15分以上いた場合は症状がなくても検査を受けるようにとしていた。しかし今回、「感染者と15分以上の濃厚接触(6フィート以内)があっても、重症化しやすい人や、医師や公衆衛生当局から受けるよう勧められた場合を除き、検査は必ずしも受ける必要はない」と変更した。

コロナ検査指針の変更
専門家から疑問の声

 米疾病予防管理センター(CDC)が8月24日、新型コロナウイルスの検査ガイドライン(指針)を、感染者との濃厚接触後も症状のない人は必ずしも受ける必要はないと変更したことについて、カルフォルニア州パロアルトの感染症専門医であるクルティカ・クッパリ医師が「これは事態を悪化させることになる」と述べるなど、専門家からは疑問の声があがっている。

 米国医師会(AMA)は26日、「ウイルス拡散と感染急増の処方箋になる」と批判、「保健福祉省とCDCに指針変更の科学的根拠を示すよう求める」との声明を発表した。

 感染拡大が続いている多くの州で検査キットが不足しており、トランプ政権の対応に批判の声が上がっていた。タスクフォースの座長はペンス副大統領が務めている。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長らも確認したと述べたが、ファウチ氏はこれを否定。この変更は「重大な懸念がある」と27日に表明した。

 CNNは、今回の変更はトランプ政権からの圧力の結果であるとする連邦政府高官の話を報じた。ニューヨーク州のクオモ知事はツイッターで、指針変更は「科学ではなく、政治によるものだ」と批判した。