コーデュロイの似合う男とは

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イケメン男子服飾Q&A 77

 今の季節、一番寒い時期にはツイードやフラノといった羊毛を素材とした生地が重宝されますが、その中で綿を素材・原料とした生地で大活躍をしてくれるのが「コーデュロイ」ですね。ニューヨークでは日本の様なウォーム・ビズはあまりないかも? と思いますが、特に日本からの駐在の皆様には日本的な加工がされた、例えば襟のボタンの色が黒になっていたり、派手なステッチが襟や袖に入ったボタンダウン・シャツは、なるべくスーツではなくジャケット着用の際に合わされることをオススメします。
 コーデュロイの生地は、17世紀に英国はイングランドで作られたのがオリジンだと言われております。そしてCorduroyという言葉のオリジンはフランス語という説がありCorde du Roi、フランス語のcordeには畝とか紐と言った意味があるかと思いますが、よって「王様の道」と言った意味があるという御話なのですが、はたまた「王様の生地」と言った意味もあるのだ、とか。
 基本、コーデュロイはベルベッティン(これは綿、ベルベットはシルクなんです、違うのです!)と同じ織り方に畝を加えて仕上げた生地でして、その分、丈夫さと保温性にも優れた生地となりました。農業国のフランスにおいては農作業用の服として着られ、また19世紀の英国においては、煙突掃除の作業の方々に愛用されたという御話もあります。
 コーデュロイの畝のことをwaleと言いますが、商品カタログなどを見ますと6 wale, 8 wale, 16 wale etc.といった表記が「100% Cotton」の素材表示の後に御目に留まるやもしれません。waleとはコーデュロイの畝を意味しておりまして、そして数字が小さければ小さいほど、より畝が太いコーデュロイの生地となります。例えば8 wale corduroyとは1インチ(2・54センチ)巾に8本の畝があるということでして、もしお仕事用でしたら16 waleから26 waleくらいの細い畝巾の生地が使いやすいのではではないかと思います。御理解いただけるかと思いますが、畝が太ければ太いほどカジュアルでスポーティーな印象そして雰囲気が醸し出されます。
 コーデュロイの御洋服をお求めの際は、スーツでもジャケットでも御用途に応じてで構いませんが、もし出来ましたら細い畝のスリーピースを御奨めします。色はお仕事でも着られることを考え、ネイヴィーやグレーそしてオリーブ・グリーン、タン・ベージュ、ブラウンといった基本の色がやはり使いやすいのではないかと思います。なぜスリーピースなのかと申しますと、コーデュロイはスーツで着ても良し、バラシて着ても良しだからです。スリーピースのどれか一つがダメになっても他はずっと活用出来ますから。ヴェストはツイード・ジャケットなどの中に着れますから。
 機会があれば卒業のダスティン・ホフマン、ゴッドファーザーのアル・パチーノ、そして大統領の陰謀のロバート・レッドフォードなど御覧ください。スクリーンの中の名優さんたちのコーデュロイの着こなしが参考になるかと。
 最後に、コーデュロイやベルベッティンは他とは生地の使い方が全く異なります。それは生地を上下逆さまに使うこと、順目ではなく逆目なのです。そしてこのことによってlusterと呼ばれます独特の光沢が生まれるのですが、日本製は残念ながら極一部の例外を除いてその様になっておりません。パリで見かけるコーデュロイが何故か素敵に見えるのはそのせいかもしれません(笑)。それではまた次回。

 けん・あおき/日系アパレルメーカーの米国代表を経て、トム・ジェームス.カンパニーでカスタムテーラーのかたわら、紳士服に関するコラムを執筆。1959年生まれ。