味も伝わる英語表現!

片山晶子・著
Jリサーチ出版・刊

 食べたい、食べてもらいたい、和食のおいしい魅力を英語できちんとガイドできる本。天丼、ラーメン、寿司といった定番の和食からカレーライス、オムライス、ナポリタンといった洋食、ご当地料理、弁当、コンビニ、居酒屋など多様な日本の90メニューから食文化をカバーしている。知っているようで知らなかった和食の美味しい魅力を英語でしっかりと表現できる。たとえばご飯の炊き方。ふわふわとした輝きのあるというのは「fluffy(ふんわり)」「shiny(つやつや)」、天丼の汁気の多いは「juicy」、親子丼の甘味のあるおいしさは「luscious 」、香りのいい「aromatic」と表現。カレーライスの「辛い」は「spicy」。カレーのルーの箱には「HOT」て書いてあるが、スパイシーというのが舌に刺さってくる感じがでてる。ホットはもっと単純な辛さかもしれない。冷し中華は、茹でた麺を冷すにあたり「chilled 」を使うと「make it cold」などと言うようりもかなり洗練された形で伝わりそうで、味も良くなる感じがする。鰻丼がスナミナが付くといのも「nurtitious」(栄養豊富な)と聞くと上品で豊かな味わいを楽しめそう。刺身の白身などは「さっぱりした味」=lightを使う。大トロや雲丹など「こってり」は「rich」な味で納得。
 一瞬でどんな料理か説明できる「料理のキーワード」や「カロリー情報」「予算」など料理を紹介する糸口が満載だ。米国はもとより海外で和食の関心は高まる一方。いまや、和食イコール鮨のイメージをはるかに超えて、ラーメンから吟醸酒、ひいては日本の発酵技術まで注目される時代。筆者自身、米国在住の食のジャーナリストとして、または和食文化を紹介するラジオ番組の司会、プロデユーサーとして和食に魅了された外国人の話を聞く機会も多く、そんな時は日本人として誇りに思うそうだ。本紙の食の記事「EATOUT」を創刊以来執筆していて読者にはお馴染みの人でもあるはず。
 第1章では和食の礎である価値観を紹介。第2章は代表的な料理、第3章は飲み物、第4章は和菓子、第5章は弁当、行事食、洋食を、第6章では地方料理を説明している。通訳案内の助けとして、気軽に英語を学ぶテキストとして、または和食のうんちくガイドとして自由に活用できるような内容になっている。
 和食とは? と問われ、その哲学をどう英語で語るか。まず、そういうのは、日本語で知らないことには、英語でも言えないことになっている。日本人の和食文化の基本にある3つの特徴を説明するとなるほどと思い当たるフシがある。「シンプルさ」「熟練生」「適応力」。フランス料理は足し算、和食は引き算の料理であると言われています、などと英語で説明してみたいものだ。味を幾層にも重ねる代わりに、日本人の料理人は味の要素を最小限に抑え、旬の素材の風味を際立たせることを目指すと。読めば知識が幾層にも重なる。 (三)