コロナウイルスの感染拡大、新型肺炎に備える

中国系移民が多いクイーンズ区フラッシングの大通りはマスクをした人々が行き交う(1月28日午後1時、写真・本紙 三浦良一)

ニューヨークでも堂々とマスク

 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の死者は1月29日までに132人となり、患者数は5974。習近平国家主席は「全力で新型肺炎を抑え込む」と1月20日に宣言し国をあげて感染拡大を封じ込めるとして武漢を事実上封鎖、人民解放軍の医師ら約150人を派遣し隔離治療施設設置などをしているが感染は食い止められていない。
 感染はすでに世界に広がっており、29日現在で、17の国と地域で83人の感染者が確認されている。日本国内でも武漢から日本に入国した男性など8人が確認されている。 米疾病対策センター(CDC)は18日までに、武漢市から直行便や乗り継ぎ便が到着するニューヨークのケネディ国際空港、サンフランシスコ国際空港、ロサンゼルス国際空港の3か所で検疫態勢を強化。武漢からの乗客は他の利用者と分けて別室で発熱の有無などを確認し、症状がある人はさらに詳しく調べるなどしていたが、21日にワシントン州で武漢を訪問していた30代男性の感染を確認。また24日にも武漢からシカゴに帰国した60代の女性の感染が判明した。ニューヨークでは5人が検査対象となり3人が隔離されている。このため28日までに検疫強化空港をニューアークやヒューストンなど20空港まで広げている。ユナイテッド航空が28日に米国と中国路線を飛行する24便の欠航を発表したのに続き、アメリカン航空も29日、2月9日から3月27日までロサンゼルス空港と北京、上海路線を運休すると発表した。英国航空も中国便を運休すると発表。米国の航空会社としてはデルタ航空のみが中国への直行便を運行している。
 日本政府は29日までに第1便として在留邦人206をチャーター便で日本へ退避させた。現地には帰国希望者が650人いる。日本の外務省は、湖北省に対して感染症危険情報レベル3(渡航中止勧告)を、中国のその他の地域に対しては感染症危険情報レベル1「十分注意してください」を発出した。(関連記事5面に)