コロンビア大学で経営理念講演 鎌倉シャツ社長 貞末奈名子さん

 メーカーズシャツ鎌倉(本社東京都、通称・鎌倉シャツ)の貞末奈名子社長が9月23日午後、コロンビア大学ビジネススクールで講演した。同大学日本経済経営研究所の主催で行われたもので、当日は日本のアパレル業界でメイド・イン・ジャパンの日本製ブランドに革命を与えた同社の歩みや、値引きプロモーション、宣伝をしない同社独自の経営方針について語った。

 同社は1993年11月7日に鎌倉市で創業し、メンズファッションで知られるVANジャケットの元社員だった父の貞末良雄と妻の民子が始めたファミリービジネスだった。30年近い日本のデフレ経済の中で、縫製品質の高いシャツを手頃な価格で販売する方式で成長し、現在日本全国に25店舗を構えている。海外では2012年にニューヨークのマジソン街に出店、金融街にも店舗を拡大、2019年には中国上海にも進出したが、2020年のコロナ禍のパンデミックでニューヨークから撤退した経緯を述べた。「父の悲願だったマジソン店を私の手で閉めるのはとても辛かったが、またいつかこのニューヨークの地に戻ってくると心に誓い、4年後の昨年、再度上陸を果たしました」と語った。

 現在鎌倉シャツは、マンハッタンの中心にあるグランドセントラル駅に隣接するグレイバービル16階にサロン店を構えている。同店は完全予約制で注文仕立てのシャツを販売、ニューヨークのビジネスマンにSNSなどを通じて圧倒的な人気を誇っている。今回の同大での講演も、NYサロン開店1周年記念レセプションで貞末社長が来米するタイミングで開催された。貞末社長は講演の中で、鎌倉シャツのコーポレートポリシーが「世界で活躍するピープルを応援する」ことであることを紹介し、日本製の国産にこだわっている点を強調した。「パンデミックの時に企業がリモートワークになりシャツが売れなくなった時期、ワイシャツの生地でマスクを作ったら発売6日で50万枚の注文が来た。仕事を継続的に発注することで職人や工場の高い技術が維持できる」とも述べた。コットンの栽培、原料から全ての工程を完結させることも紹介した。

 講演後半は同大日本経済経営研究所マネジングディレクター荻野僚子さんの司会で質疑応答が行われた。聴講した大学院2年生のクリスチャン・ウオルターさんは「ファミリービジネスからグローバル展開できているその背景に高品質とサービスがあることがよく分かった」と感想を述べた。

 13年前、マジソン街店開店の朝午前7時、当時の社長で母の民子はこう訓示した。「ニューヨークの皆さんに日本のおもてなしの心を見せてあげようではありませんか」。その志は今、二代目の奈名子社長にしっかりと受け継がれている。

 (三浦良一記者、写真も)

,