宇宙で酒造り計画 獺祭SAKEシリーズ

青木恵子さんと対談「ブレずに同じ味追求」

 ビジネスリーダーをステージに迎え、獺祭ブルーを囲んで繰り広げる講演シリーズ「獺祭SAKEシリーズ」第2弾が7月24日夜、ジャパンソサエティーで開催された。今回は、獺祭の桜井博志会長がゲストにベニハナ・オブ・トウキョウ元CEOで現アルテッセ社CEOの青木恵子さんを迎え、青木さんの夫でベニハナ創業者のロッキー青木氏(故人)の「事業に賭けた挑戦とイノベーション」について対談した。講演終了後にはレセプションが開かれた。

 青木さんは「米国で全米展開するレストランチェーンで50年以上続いているのはTGIフライデーとベニハナだけ」と前置きし「食事をする時はおしゃべりをしないで静かに行儀よく食べるという日本の食事のマナーの常識を翻し、食事を楽しいエンターテインメントに変えたところがベニハナの挑戦だった。また醤油の味をアメリカに広めたことも功績で、創業時すでに今流行りのオープンキッチンを採用していたのも当時としては画期的だった」と述べた。ベニハナが61年間長続きしている理由は「マニュアルに基づいてブレずに同じ味を守ってきたことだ」と述べた。「Where are you from?(出身はどこ)」と客が聞けば「I’m from kitchen (キッチンから来ました)」と応えるようジョークすらもマニュアル化されていたという。

 桜井会長は「たとえば旅館のシェフが経営者の言うことを聞かなくて現場がブラックボックスになってしまって経営がうまく行かなくなったと言う話はよくある。マニュアルがあればブラックボックス化しなくて済む」と返した。

 対談は後半、スライドを見せながら獺祭の歴史と未来の展望などに話題が変わった。夏場に仕事のない酒造りの杜氏のために地ビールの生産に乗り出して失敗した経験が、東京に出て純米大吟醸一本で勝負する覚悟に結びついたと言うエピソードも披露した。最後に「2040年には月に人間が住む時代がやってくるだろう。今年10月に打ち上げられる国際宇宙ステーションで酒造りをする「DASSAI MOON」計画を紹介し、会場を驚かせた。