日本語「大好き」アメリカ人

フィラデルフィア日本語補習授業校

大人対象の日本語クラス
30年前に創設で年々人気
寄 稿

 フィラデルフィア日本語補習授業校(福澤隆治校長)は、14歳以上の学習者を対象とした日本語クラス、アダルトコースを開設している。1990年初め幼児向けクラスを開設したことをきっかけに、次は大人向け日本語クラスをと動き始めた際、借用校の校長をはじめ日系企業に勤める人など日本語学習の場を求めていた大人たちが少しずつ集まり、93年にアダルトコース創設が叶った。近年は、日本に興味をもつ高校生や親子で受講する学生、また日本人を家族にもつ学生(親や配偶者)と幅広い年齢層、バックグラウンドの学生が受講している。

 創設当時1クラスだった同コースは現在4クラス。学習経験年数でクラス分けしている。各学期の平均登録数は60人。今年度に至っては70人と日本語に興味を持つ人が増加している。コロナ禍、授業形態を100%オンラインに移行した際は州外からの受講者もおり、学生数は一定を保った。

 平日はフルタイムで学校や仕事、家庭の用事で忙しい中、土曜日午前中を同校で過ごす学生が多いのは、日本語学習に対する熱意の現れだ。また、同コースの教員は常に日本語と日本に誇りをもって教壇に立っており、その思いが学生たちにも伝わっている。

 年に1回「日本文化体験」として、茶道、書道、剣道をはじめ、太鼓や民謡鑑賞など、日本を体感する機会を設けている他、日本の習慣やマナー、日本人独特の所作についても授業内で指

導するようにしている。土曜日の本校はまさに日本人コミュニティであり、学生たちにとって生の日本語を実践できる絶好の場となる。保護者へのインタビューや児童との交流学習などを授業に取り入れるようにしている。この貴重な環境を無駄なく提供するようにしている。さらに、入学式、

餅つき大会、運動会などの全校行事にも参加し、日本の慣習やしきたりを体験する機会もある。

 この恵まれた環境の中、日本を身近に感じ始める学生も少なくない。日本で自然災害が起きるたび心を痛める学生、日本人コミュニティのイベントに参加するだけでなく積極的にボランティアを申し出る学生もおり、日本が彼らの第2の故郷となりつつある。そして、日本語留学やJETプログラムで日本へ旅立ち活躍する学生たちもいる。このように、日本とアメリカの架け橋となる種を日本語教育が育てている。今後も日本語に興味をもち受講する人達を大切にしていきたい。

(フィラデルフィア日本語補習授業校アダルトコース主事 ウィアー 佳見)


大学で日本語を学んで
日本で日本企業に就職

 はじめまして!フェデリコ・グルゾンと申します。ニューヨーク出身で、今年5月にミドルベリー大学を卒業しました。入学前は、何を勉強したいのか、将来何をやりたいのか全く分からず、専攻を決めるのに迷っていました。そんな中、自分にチャレンジしたい気持ちと、祖母の母国語である日本語を話せるようになりたいという思いから、日本語を専攻することにしました。

 大学1年生では「あ・い・う・え・お」から学び始め、日本語の文字や発音に慣れるのに苦労しました。その時から、毎日漢字を学んだり、先生と日本語で話したり、授業外で復習を繰り返した結果、3年生でICU(国際基督教大学)に留学する機会を得ました。その1年間で日本語は大きく上達し、多くの日本人の友達も作ることができました。この経験を通じて、日本で就職することを目指しました。日本語のジャーニーの中で一番難しかったことを挙げると、それは日本の就職活動でした。面接の練習やエントリーシートの準備を全て日本語で行い、アメリカにいながら時差の影響で早朝3時に面接を受けることもありました。それでも諦めず努力を続けた結果、株式会社アドベンチャーから内定をいただき、日本で働くことが決まりました。2024年10月に株式会社アドベンチャーに入社し、グローバル事業部に所属しています。株式会社アドベンチャーは、総合旅行予約サイト「skyticket」を運営し、グローバルな企業を目指している会社です。現在の仕事にはとてもやりがいを感じており、素晴らしいチームとともに働けることを楽しんでいます。大学で学んだ日本語を活かしながら、ビジネス日本語をさらに上達させ、会社に貢献していきたいと考えています。(原文まま)