激動の時代を生きる

ウクライナ支援団体

RAZOM代表に聞く

 ニューヨークのイーストビレッジに本部を置くウクライナ支援団体、RAZOMのドーラ・ホミアク代表に、ロシアがウクライナに軍事侵攻して以来10か月間の支援活動の内容を12月16日、RAZOMの事務所で聞いた。(三浦良一記者、写真も)

RAZOMのホミアク代表とスタッフ(後列)たち

 私たちが2月から10か月間にしたことは、私たちが過去10年間やってきたことにほぼ等しいくらいです。支援の柱は人民の命を守ることと、ウクライナが勝利するための二つです。他の支援団体と協力して緊急医薬品・医療機器を当初から送り続けています。具体的には内出血を検知する超音波医療機器など、まさにウクライナ人の出血を防ぐための支援を行っています。7月以降は、これに発電機、インターネットの接続機器、乾電池が加わった。ウクライナ国内に100以上の非営利民間支援組織があり、そこを通じて支援物資を送っている。

 夏以降ロシア軍の民間施設への攻撃が激化しているため、大都市圏での停電が深刻で、病院に必要な大型の発電機、一般家庭用の小型発電機などの緊急需要が高まっている。現実的なミサイル攻撃もさることながら、情報、正確なインフォメーションが情報の攻撃ミサイルによって妨害されている。

 ニューヨークにも多くの避難民がウクライナからきているが、多くは高学歴で、来米直後に直面する最大の課題は仕事に就くことだ。幸いウクライナからの難民は、特別保護移民政策により10万人の緊急受け入れが可能になっている。ロシアのプーチン大統領がこの戦争を終わらせない限り戦争の終わりは見えない。

 日本を初め、多くの国からのサポートに感謝している。支援をありがとうございます。何もしないことは、ウクライナをさらに窮地に追いこむことになるので、どうか引き続きウクライナのことを忘れずに注視していてください。

ウクライナ支援の小切手をRAZOMに手渡す八木TICグループ社長(左端)(3月15日)

「流血を止めるために使う」
日本人の支援に感謝

 ニューヨークのマンハッタン・イーストビレッジには、リトル・ウクライナと呼ばれる地域があり、約6万人のウクライナ系市民がレストランを営業したりして東海岸最大のコミュニティーを作っている。

 ウクライナにロシアが侵攻して3週間たった3月15 日、同じイーストビレッジで50年近くビジネスをしている日本人、TICグループ代表の八木ボン秀峰さん(73)が、1954年創業の老舗ウクライナレストラン、ベセルカの前で、ウクライナへの支援の寄付として1万1000ドルの小切手をRAZOMに手渡した。

 八木さんがニューヨーク市内で経営するTICレストラン、波崎、酒蔵、カレー屋、来々軒、蕎麦屋、ハイカラ、でしべる、茶菴、しゃぶ辰から各店舗の売り上げの一部を贈ったもので、ロシアがウクライナに侵攻した日に寄付を思い立ったという八木さんは「東日本大震災の時には地元から応援していただいた。今度は私たちの番」と話した。

 RAZOMのドーラ・ホミアク代表は「同じイーストビレッジに生きる日本人の友人からの支援を心から感謝します。現地で血を流している人たちの流血を止めるために使います」と述べた。

 ベセルカの二代目オーナー、ジェイソン・バーチャードさんは「愛と平和をウクライナに送ることが今の私たちにできる最大のことだ」と挨拶した。