老後は帰国して日本で暮らす

日本での老後生活をお考えの海外在住の皆さんへ〜終活のすすめ〜

神田紀久男

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 コロナウイルス感染拡大が世界中で広がりを見せております。第2波・第3波と言われる波が押し寄せるなかで、寒さを迎える季節に感染防止対策がよく話題となっています。ただし、感染者数を外国と比較した場合に、かなり低い数値で推移していることからすると、比較的安心して生活を送ることが出来るのが我が国日本と言えるかもしれません。

 私も10年ほど海外生活を経験した者として、外国への憧れと異文化のなかで暮らすことの楽しみや発見があり、とても有意義な時間であったと今でも思います。ただ帰国してみて思うことは、日本はいろいろな意味で平和な国であり、自分の中に流れる血なのでしょうか、地域のなかで人と人との繋がりを感じることが出来る社会を形成し、安心感のある生活を送ることが出来るなあと思います。

 海外生活を送っている皆さんが、老後の生活を日本でとお考えになる時、私からのアドバイスは「終活」という視点です。「終活」とは「自分の終末を迎えるにあたり、後悔をしないように、今を自分らしく生きる活動」のことを言います。

 終末を考えるなど、縁起でもないとお考えになるかもしれません。しかしながら、身近にお世話をしてくれる家族・親族がいない場合は、看取り・死後の後始末など頼れる人がいないケースも想定されます。現実に今の日本では、「おひとり様」の老後・死後についてが大きな問題となっています。例えば、認知症になった一人身の方の財産管理はどうするのか、一人暮らしの方が亡くなった後住んでいた家が空き家となり放置される問題、祖先が眠っているお墓の面倒を見る子孫がいないので放置されたまま荒廃していくお墓等です。

 亡くなってしまうと自分ではなにも出来ず、誰かの手を煩わせることになります。最後まで自分らしく生きていくためには、死を迎えるまでしっかりと自分の意志を示すことが出来れば良いのでしょうが、それが叶うかどうかわかりません。病気になったり、ケガをしたりすることで、急激な体力低下から、認知症を患ってしまえば、自分の意志表示が出来なくなる可能性も高くなります。最後まで元気でいることが大前提ですが、「もしも」の時への備えは必要なことだと思います。財産管理や遺言などの準備だけでなく、亡くなった後のこと、葬儀・供養といったことも、「自分はこうしたい」と考えを残しておくことや、頼れる人を探しておくことも大事だと思います。

 海外生活が長く、お子さんはこれからも外国で生活を送ることを前提としているのであれば、亡くなった時に遺族が駆けつけるのに時間を要する場合も想定されます。そんな時にそれまでの間を誰かにお世話になるなども検討しておくことも必要かもしれません。そんな死後の後始末を行う方法として「死後事務委任契約」も一つの解決方法です。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

 最後に、老後の生活を日本で送る。故郷以外での暮らしを検討されるのならば、私の暮らす福岡県北九州市はお勧めです。それなりの都市だけど、海も山もとても近く自然豊かで食もおいしい。暮らしやすい街です。ぜひ、老後を送る町の候補に検討してみてください。

神田紀久男(かんだ・きくお)日本大学法学部経営法学科卒業後、現・株式会社安川電機に入社。その後海外での市場調査に従事し、退社後に株式会社イフケア北九州を創業。霊柩車運行事業を行いながら、2014年、終活カウンセラーの資格を取得。以後、終活相談事業を本格的に始め、死後事務委任契約の締結などに力を入れています。

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