「大内宿の秋」

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「大内宿の秋」

 福島県の「大内宿(おおうちじゅく)」は、「下野街道と呼ばれた会津と日光を結ぶ街道で、江戸へ向かう大名や旅人の宿駅として重要な役割を果たし栄えたそうです。30軒以上のかやぶき屋根の民家が幅広い道の両脇に並ぶ様子は珍しく、情緒あふれる景観は人気の観光スポットのひとつとなっています。

 大半が江戸時代からの建物で、古いのでは400年にもなるそうで、家並を見ながら歩いていると、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような錯覚になります。道の両脇には山からの清らかな自然水が流れていて、水に手を入れると冷たく秋空の新鮮な空気もあいまって身も心も癒されます。名物の「ねぎ蕎麦」はぜひ食べていただきたい。その食べ方だが、太い一本の白ねぎを箸代わりにして先端で蕎麦をたぐり寄せるようにして、そばをすくって食べ、口に入れたらそのままねぎをかじり、薬味として一緒に食べるという面白いものだ。歴史を重ねてきた家の内部や囲炉裏端から眺める外の紅葉の色とりどりの木々に包まれる素晴らしい景色を鑑賞することが出来て大内宿を満喫。

 (くぼ・しゅう/切り絵画家、東京都在住)