地下鉄工事で大迷惑

トラムに観光客殺到

ルーズベルト島住民が悲鳴

 メトロポリタン交通局(MTA)が地下鉄Fラインの大規模な線路工事を8月28日に開始した。これによりマンハッタンからクイーンズにかけて、一部の路線ルートが大幅に変更され、イーストリバーに浮かぶルーズベルトアイランドの住民が大きな影響を受けている。

 トラムと呼ばれるロープウエーが往復するこの島に地下鉄が開通したのは1989年。以来地下鉄とトラムはおよそ1万4000人の住民の重要な交通手段となっているが、今回の地下鉄工事で電車の本数が少なくなった上にパンデミックが明けて観光客が撮影目当てにトラムに押し寄せるようになり、週末には長蛇の列が1ブロック先まで並ぶ。(写真上:島民の重要な足である公共交通機関のトラムは観光客で連日満員状態)

マンハッタンとルーズベルト島を結ぶロープウエーのトラム

 15分に1本のトラムを何本か見送ってようやく乗り込んだ観光客が、我先にと席取りに走り、高齢者を押しのけて座席を独占してしまうことも。これでは通勤や行き来に支障が出ると島の住民が悲鳴をあげた。住民たちはこの島の自治体の役割を果たしている公共利益法人RIOCに「F線の工事が終了するまで、住民優先乗車ラインを作って欲しい」と嘆願したものの、RIOCは「差別になるので法的に無理」と一蹴。

 ただ、島の住民は、このトラムしか交通手段がなくなったわけではなく、63丁目のレキシントンとルーズベルトアイランド、21ストリートクイーンズブリッジの3駅を、単線で臨時シャトルの地下鉄が午前5時から深夜0時まで20分に一本走っている。しかしレキシントン街もこの島も川の横なのでホームが地下深くにあり、エレベーター、エスカレーターの故障も多いため、高齢者はトラムに頼らざるを得ないという。

 またクイーンズ側に出る時に、21ストリートの駅はほかのラインに接続できないため、無料のバスを待ってクイーンズプラザに出なくてはならないという不便を強いられている。早朝にジョン・F・ケネディ国際空港で働いていた住民は、仕事を辞めるかクビになるのを待つかという状況に追い込まれている。

 工事はおよそ半年の予定だが、大幅に伸びる可能性もあるという。「観光客の皆さん、今はトラムに乗らないで。工事が終わるまで待ってください」と住民たちから悲痛な声が上がっている。(田村明子、写真も)