トランプ大統領記念名称相次ぐ

史上例のない在任中の拡大

 トランプ大統領の名を冠した政府関連施設や制度が、在任中にもかかわらず相次いで誕生している。ジョン・F・ケネディ記念舞台芸術センターを「ドナルド・J・トランプ・アンド・ジョン・F・ケネディ舞台芸術センター」にしたり、米国平和研究所を「ドナルド・J・トランプ米国平和研究所」にしたりするのに留まらず、海軍の新クラスの戦艦の呼称を「トランプ級」とする構想や、さらには米国建国記念1ドル硬貨や医薬品割引サイト「TrumpRx」まで、その範囲は多岐にわたる。

 政府支援の貯蓄制度「トランプ・アカウンツ」のほか、「トランプ・ゴールドカード」といった民間寄りの政府プログラムまでも登場しており、従来の政府プログラムとの境界が曖昧になりつつあるとの指摘もある。

 歴代の米大統領は通常、退任後あるいは死後に図書館や記念館、道路、学校などの名称に名前が付けられてきた。しかしトランプ大統領の場合、現職のうちから連邦機関や主要なインフラ、政府支援プロジェクトに自身の名前を冠する事例が相次いでいる。これについて歴史家たちは「在職中の自己名付けは前例がなく、西洋政治史でも異例だ」と指摘する。

 トランプ政権内では、これらの名称は「国民への貢献や成果の象徴」であると説明されているが、一部の反対論者は「権力とブランドを結びつける危険な傾向」と批判している。歴史家の中には、「国家的記念が自己称揚的なブランド戦略に変わっている」と警鐘を鳴らす声もある。南メソジスト大学の歴史家ジェフリー・エンゲル氏は「自らを記念し称揚する行為は、西洋政治文化では下品とみなされてきた」と指摘する。実際、国立公園の年間パスに大統領の肖像を用いる決定や、存命中の人物を描いた1ドル硬貨発行計画には、法令違反の可能性を巡る訴訟や批判が起きている。

 共和党議員のなかからは大統領誕生日を国民の祝日とする法案や、ワシントン近郊の高速鉄道システム「メトロ」を「トランプトレイン」に、ワシントン・ダレス国際空港をドナルド・J・トランプ国際空港に改名する提案なども出ている。支持層ではこうした動きが支持される一方、バーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州選出)が現職の大統領にちなんで連邦政府の建物や土地に命名、改名することを禁止する法案を提出するなど、批判派は「権力私物化」との批判を強めている。