米国で夢実現した空中の舞い姫

エアリアル・ダンサー

山田 愛(めぐみ)さん

 エアリアルダンサーというと聞きなれないが、日本語だと空中パフォーマー、エアリアルパフォーマー、空中アクロバットダンサーなどと呼ばれる職業で、ロープなどを操って空中で演技するダンサーのこと。サーカスなどの身体曲芸場面で妙技を披露して活躍する。山田愛さん(39)は、エアリアルダンサーとしてだけでなく、ニューヨークを中心としたエンターテインメントイベントなどを手がけるシルクドゥヌイットでエアリアル・ディレクターとしてオーディションの審査や、カンパニーのメンバーがエアリアルを安全に行うための最新の指導に携わっている。ヨガトレーナーの資格もニューヨーク市から取得している。

 京都市に生まれ、その後東京の大正大学で社会福祉学を専攻した。学生時代からハンディキャップを持つ人の自立支援に携わった。学生の頃から世界の音楽を聴くのが好きで、特に興味を惹かれていたのが中東、トルコなどの音。そしてベリーダンスに出会い、夢中になった。卒業後も千葉県にある無農薬栽培の和綿農家で住み込みバイトをしながら、自宅に戻るとベリーダンスという生活だった。モダンダンスも始めたが数年経つと、何か悶々とした中途半端感を感じるようになり、もうダンス辞めようかと思い始めていた時に出会ったのがエアリアルだった。2011年にエアリアル /空中パフォーマンスを東京のエアリアルアートダンスプロジェクトで始め、13年には香港で開催された国際エアリアルトーナメントでエアリアルシルク・アマチュア部門にて1位に輝く。これを機に14年、活動の拠点をニューヨークに移す。

 アクロバットの経験は皆無、当時既に30歳を迎える目前でのスタートではあったが、4年後の15年には世界のプロ・エアリアリスト達が集う、全米アエリアル・チャンピオンシップでエアリアルシルク部門のファイナリストに選出される。 

 その後も、ニューヨークのサーカストレーニングセンターで自身の研磨を続け、また、指導も行なっている。数々の大規模イベント、仮面舞踏会、野外イベント等にも多数出演。昨年は有名ラッパー50セントのイベントにも参加。今年は上海サーカスのミズーリ州公演へのオファーが入るが、パンデミックにより、ショーはキャンセル。

 大変厳しい状況のニューヨークでも希望を捨てず、今人々が必要なことをを見出す。オンラインでのフッィトネスクラスを3月から現在も継続し、無料でフィットネス教材ビデオを配信するためYoutube channel: Meg Aerial Fitnessを設立、毎週新しいビデオを作り続けている。「バーチャルシアターショーなど、今だからできる形を模索しながら、作品を創り続けることに力を注いで行くとともに、サーカスの可能性を切り開いて行きたい」と話す。(三浦良一記者、写真は本人提供)