アートディレクター
ブルックリンのダンボ地区に12か所ある公共アート壁画にまた一つ現代アートが加わった。カラフルなリングが描かれた作品「ウォーターゲーム」は、もともと、1970年代に日本の玩具メーカー、タカラトミーから誕生し、子どもたちの間で大ブームになったおもちゃからヒントを得た作品だ。ボタンを押して、水中に浮かぶリングを水圧で上手に棒に入れることを楽しむ感情を揺さぶり、子どもだけでなく大人までを夢中にさせる躍動感。そこに「静かな穏やかさを美学とする日本文化の影響をベースに、NYのダイナミックでエネルギッシュな環境から受けた影響を重ねることにより、『静』と『動』の文化を融合する今回の作品が生まれました」というのは、市交通局とダンボ地区経済開発局からデザインを委託されたデザインスタジオSOAR NY社(本社ニューヨーク、花原正基社長)のアートディレクター、瀬島葵さん(24)だ。作画デザインを同社で行い、塗装は野外広告で世界的に評価されている会社がハンドペイントした。
(写真上)作品の前に立つ瀬島さん( 所在地は 108 Adams St. Brooklyn NY 11201 )

東京生まれで親の転勤で海外生活が長く、2011年、小学校5年生の時に来米、ニュージャージー州フォートリーで高校まで生活し、17歳の時に地元のアートコンテストで1位になったことがきっかけで美大に進もうと決心。パーソンズ美術大学へ進み2023年に卒業。現在はグローバル規模のビジュアルアート制作、ブランディング、キャンペーンの仕事で活躍している。「人の心が動くものを制作しようと日々試みています」とウォーターゲームのミニチュアのボタンをキュっと押した。
(三浦良一記者、写真も)