クライアントとダンサーを結びつける

UXデザイナー、ダンスエージェンシー経営

Fumiko

 日本で大手広告代理店や企業から「こんなイベントやCMに使えるダンサーはいないか」というクライアントの要望に応えて、ダンサーとクライアントとを結びつけるビジネスを立ち上げた。実績は、AKB48や乃木坂46など、時代が求めるアーティストやダンサーをテレビCMに提供するなど、ダンサーと振り付けをセットで年間100本近くの振り付けをクライアントに提供した。

 5年前に企業派遣で留学来米し、それと同時期に並行してダンサーを派遣したり企業やアーティストと結びつける会社を起業、現在はイベントや撮影に応じて100人規模のダンサーも集めるという活躍ぶりで今年1月には東京で米国トップクラスのダンサーの講習会も開催した。

 本名・香月ふみ子。山口県下関市で生まれ育ち、東京学芸大を卒業後、ソフトバンクに就職。モバイル事業部で携帯電話を広く多くの人に使ってもらうミッションとしてエモジの開発などを手がけたが、2013年くらいに水面下のプロジェクトが始まって、対話型ロボットPepper を開発する仕事の初期メンバーに加わった。社内でもトップシークレットの計画だったため、親兄弟にも話してはならないという誓約書に署名もしたという。サラリーパーソンとしての生活を続けながら、学生時代から好きだったダンスや音楽にも軸足を移し、自らDJなどでも活躍するうちに没頭するようになり、多くのダンサーたちとも知り合った。気が付くことがあった。「日本のダンサーは、ダンスのインストラクターをやったり、オーディションを受けて狭き門をくぐってミュージックビデオやライブ、テレビに出たりしているという状況。こんな鍛錬された素晴らしい能力をもっともっと活かせる場所があるはずだ」と。

 そんな時、会社が副業を正式に認めるという、自身にとっては渡りに船というタイミングでダンサーと日頃付き合いのある広告代理店などとを結びつけるビジネスモデルを構築した。もともとユーザーが使いやすいデザインを創り出す「UX(ユーザー・エクスペリエンス)デザイン」のメソッドで、企業側からベンダーを使う視点で、こんな売り込みならダンサーを使ってもらえるのではないかというアプローチが奏功した。現在、米国でダンサーとクライアントを結びつける業務は全体のごく一部。プロダクトデザインやウェブ、広告作成など、企業とマーケットを繋ぐUXデザイナーとしても活躍中だ。(三浦良一記者、写真も)

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