8月15日に開催された英国対日戦勝80年記念式典に参加しました。日英両軍が最終戦を交えたインドのインパール作戦やビルマ(現ミャンマー)などで戦った英軍兵、日本兵の家族約10名や鈴木浩駐英大使が参加しました。
出席したチャールズ国王は、声明の中で広島と長崎の原爆被害に関して「再び犠牲を払う国が決してないことを祈る」と述べました。式次第には、昨年の天皇、皇后両陛下の英国訪問の写真入りで「両国は他に比類ない友人である」と記されていました。会場の広大な戦没者追悼施設には多くの市民が参加し、友好と和解の場面も多く見られました。日本軍が英軍捕虜を使役したタイ・ビルマ間の泰緬鉄道を再現した線路前で両国の関係者が献花しました。反日感情が強かった昭和天皇や現上皇夫妻の訪英時とは隔世の感です。英軍下で戦ったアジアやアフリカ諸国の関係者も多く、日本は世界各国と戦っていたことを再認識しました。
日米間でも近年和解活動が続いてきました。私は長年米軍元捕虜の訪日事業を支援してきました。2016年に来日したクローリーさんは、日立鉱山の社員が憲兵隊から捕虜を守ってくれたと語りました。2015年のブラウンさんは、霞ヶ浦に不時着した彼を攻撃しようとした住民達から、漁師が救ってくれたと語りました。同年の安倍晋三総理の米国議会演説には元米軍捕虜も招かれました。
他方、上記の式次第には「現在世界の12の地域で戦乱が起き、第二次大戦以来最大の数である」と記されていました。世界での戦争多発と長期化への懸念です。80年前5月のドイツ降伏後も、日本は8月まで戦い続け膨大な死者を生みました。今「なぜ戦争を始め、止められないのか」が問われています。
ロシアのウクライナ侵攻によるウクライナ兵の死者は最大10万人、ロシア兵は最大25万人と言われます。一人の兵士の両親・家族が4人とすると、ウクライナには約40万人、ロシアには約100万人のご遺族がいる計算です。これらの方々が、戦勝10年〜80年などの行事に参加していくことを想像するだけで心が痛みます。
元兵士や家族は、敵味方を超えて犠牲者であり、こうして犠牲者同士が和解活動を行なっている重みを、関係各国の為政者達に伝えたいものです。
ふじた・ゆきひさ=オックスフォード大政治国際問題学部客員研究フェロー(英国在)。慶大卒。国際MRA(現IC)や難民を助ける会等の和解・人道援助活動を経て国会議員、財務副大臣、民主党国際局長、等を歴任。現在、国際IC日本協会長、岐阜女子大特別客員教授も兼任。

