
日本各地の伝統芸能の踊りをニューヨークで踊り続けるジャパニーズ・フォークダンス・インスティチュート・オブ・ニューヨーク(民舞座)が主催する舞踊公演「Dances of Woven Water」が、20日と21日の両日、トライベッカにあるBMCCトライベッカ・パフォーミング・アーツセンターで開催された。民舞座が日本の踊りを披露したほか、インドネシア、ハワイ、韓国などアジア・太平洋地区の伝統ある民族舞踊も披露された。古くから伝わる伝統的なアジア諸国の踊りを紡ぎ合わせて現代を照らし出した。「Dances of Woven Water」は、アジア・太平洋地域の伝統舞踊のつながりに光を当てるシリーズの第2弾。今回は「面やベールを用いた舞踊」や「水をテーマにした舞踊」という切り口から、AAPI(アジア系アメリカ人および太平洋諸島系アメリカ人)の伝統の間に見られる類似性をさらに深く掘り下げている。
民舞座芸術監督の鈴木ケビンさんは「仮面やベールを用いた舞踊は、多くのアジア太平洋諸島の伝統において不可欠な要素であり、しばしば人類が神聖な存在に近づこうとする試みを反映しています。今日上演される舞踊は、面をつけることにより踊り手が神や権威者の前で謙虚さを示すか、あるいは自ら神を体現するかのいずれかの形で表現されます」と話す。
その言葉通り、最初に出てきたのは「相川音頭」だった=写真中央=。この踊りは、新潟県沖合の孤島、佐渡島を起源とする音頭。かつて流刑地であったこの島では、数世紀前、日本各地から囚人が集められ、豊かな金鉱床を採掘する終身の重労働を強いられていた。この踊りは、囚人たちが新しい看守に慈悲深い態度を期待して踊ったものだという。元々は看守の前で顔を覆うために布をまとって踊られていたが、現在は菅笠をかぶって踊られている。踊りの動きからは、佐渡島を取り囲む荒波を想像することができた。顔を見せないことでより強い踊り手の想い、抑制された動きから逆に迫力のあるメッセージが伝わってくる。民舞座の創設者で同じく芸術監督を務めた鈴木百さんは「今回は本当にみんな頑張って練習してくれました」と笑顔で舞台後に姿を出して詰めかけたファンや観客と歓談していた。日本の踊りとしては岩手県の鬼剣舞、秋田県の西馬音内盆踊り、鳥取県の傘踊り/貝殻節、山形県の最上川音頭、熊本県の牛深ハイヤ節が披露された。環太平洋アジア系を民族文化である伝統舞踊の環で結んだ取り組みに、客席を埋めた大勢のアジア系の観客から大きな拍手が湧いていた。 (三浦)
写真・植山慎太郎


