今度はダレス空港とペンステーションも 大統領が名前要求

ケネディーセンターに続き・・・
連邦資金支出と引き換えに

 トランプ大統領がワシントンDCのケネディーセンターに自分の名前をつけたばかりだが、NBCニュースは5日、トランプ政権が米東部の大規模鉄道整備事業「ゲートウェイ・トンネル計画」を巡り、連邦資金の支出と引き換えに、ワシントン近郊のダレス国際空港とニューヨークのペン・ステーションにトランプ大統領の名前を冠するよう求めていたと報じた。

(写真)連邦資金と引き換えに名称の変更が要求されたペン・ステーション

 関係者によると、この要請は昨年秋の連邦政府閉鎖に伴い、約161億ドル規模の同計画への資金支出が停止された後に持ち上がった。政府閉鎖は11月に終了し、関連予算も成立したが、資金は現在も支払われていない。事業自体は近く運転資金が底を突き、工事の一時停止や多数の建設労働者の解雇につながる恐れがあると訴えている。

 民主党議員からは、公共インフラを政治的取引に使う行為だとして強い批判が出ている。トランプ大統領の名を冠した政府関連施設や制度が、在任中にもかかわらず相次いで誕生している。ジョン・F・ケネディ記念舞台芸術センターを「ドナルド・J・トランプ・アンド・ジョン・F・ケネディ舞台芸術センター」にしたり、米国平和研究所を「ドナルド・J・トランプ米国平和研究所」にしたりするのに留まらず、海軍の新クラスの戦艦の呼称を「トランプ級」とする構想や、さらには米国建国記念1ドル硬貨や医薬品割引サイト「TrumpRx」まで、その範囲は多岐にわたる。

 また 政府支援の貯蓄制度「トランプ・アカウンツ」のほか、「トランプ・ゴールドカード」といった民間寄りの政府プログラムまでも登場しており、従来の政府プログラムとの境界が曖昧になりつつあるとの指摘もある。

 歴代の米大統領は通常、退任後あるいは死後に図書館や記念館、道路、学校などの名称に名前が付けられてきた。しかしトランプ大統領の場合、現職のうちから連邦機関や主要なインフラ、政府支援プロジェクトに自身の名前を冠する事例が相次いでいる。

 これについて歴史家たちは「在職中の自己名付けは前例がなく、西洋政治史でも異例だ」と指摘する。トランプ政権内では、これらの名称は「国民への貢献や成果の象徴」であると説明されているが、一部の反対論者は「権力とブランドを結びつける危険な傾向」と批判している。歴史家の中には、「国家的記念が自己称揚的なブランド戦略に変わっている」と警鐘を鳴らす声もある。南メソジスト大学の歴史家ジェフリー・エンゲル氏は「自らを記念し称揚する行為は、西洋政治文化では下品とみなされてきた」と指摘する。ワシントンDCのケネディーセンターは、自分の名前を冠につけたトランプ大統領に批判が出たあと、今月2日、大統領が同センターを改修工事を理由に2年間閉鎖すると発表した。

 ワシントン近郊の高速鉄道システム「メトロ」を「トランプトレイン」に改名する提案なども出ている。支持層ではこうした動きが支持される一方、バーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州選出)が現職の大統領にちなんで連邦政府の建物や土地に命名、改名することを禁止する法案を提出するなど、批判派は「権力私物化」との批判を強めている。