クイックUSAアメリカの人事部(31)

2021年の有給シックリーブ法 1

 今回は昨年コロナ禍救済のために施行されました連邦法、家族第一コロナウイルス対応法(FFCRA: Families First Coronavirus Response Act)の今年の施行延長について書かせていただきます。連邦議会の党派分断による硬直化で法案審議が延び延びとなっておりました、総額$900Bという巨額のコロナ関連救済法案(Coronavirus Stimulus Bill)は、年末の12月27日に一時は拒否権を発動して渋っていたトランプ大統領のもとでサインされ、正式に2021年への陽の目を見ることができました。法案は主に2つあり、ひとつはCARES (Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security)Act、そしてもうひとつがFFCRAの延長で、今回はFFCRAについてアップデートをします。

 FFCRAには2つのコロナ禍に関連する従業員への有給シックリーブ法が含まれていて、ひとつはEPSL(Emergency Paid Sick Leave)で、最長80時間までの有給シックリーブ、そしてもうひとつはEFML(Expanded Family Medical Leave)で、こちらは最長400時間までの家族の看護や世話のための有給シックリーブです。どちらも昨年末でとりあえず期限を迎え、法令はいったん切れたのですが、今年の延長が認められるのかどうかが気がかりとなっていたわけです。結論としては、2021年3月31日まで延長がボランタリーベースでとりあえず、認められることになりました。

 このボランタリーベースでというところが今回ミソで、もはや法令で雇用主からの有給シックリーブの提供は、2021年からは法的義務や強制ではなくなりました。つまり、雇用主は従業員にこの有給シックリーブを与えても与えなくともどちらでもよいということに変わったという意味になります。そして今年の3月末までは、ボランタリーで有給シックリーブを提供した雇用主にIRSは昨年同様、給与税(ペイロールタックス)の税額控除を面倒見ましょうということをいってくれております。雇用主側としては、オプショナルとして提供を続けるかどうかの選択ができるようになります。(つづく)

酒井 謙吉 Pacific Dreams, Inc. CEO

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