編集後記

編集後記

 みなさん、こんにちは。関税が、恐れていた25%ではなくて15%で良かったなあなどと胸を撫で下ろす人の心理は、毎年家賃が5%ずつ上がっていたアパートの家主が、今回の更新で家賃を25%引き上げると通告してきて「払えないなら出て行っていいよ、すぐ借りては見つかるから」と足下を見られた借家人の心境に近い。なんとか交渉して、「では25%ではなく今年と来年は15%に引き下げる」と言われて、なんとかなったかとホッとするようなもの。結局今までより10%、例年の倍の値上げをされてしまった現実が残るわけです。若き日から不動産王と言われていたトランプ大統領のディールはそんな手法に似ています。なんだかまんまとやられた感はありますが、しかし、関税引き下げの条件の中にはボーイングの旅客機を100機購入することも含まれています。まあ、買えるんなら機材が新しくなってこれはいいことです。日本は大型旅客機をもはや作ってはいないのですし。日本航空や全日空の機体がどんど新機種になってくのはいいことです。それにアメリカの車は日本車に比べてデカすぎて日本の小さい路地を走れない、駐車できないなどの理由で日本市場の閉鎖性に対する弁明をあれこれしてきましたが、米国自動車メーカーにも、ちゃんとコンパクカーというサイズの車種も各社揃っているので、今回の関税交渉の結果として、小型のアメ車が日本の道路をいっぱい走っていけばそれはそれでいいのではないでしょうか。部品がない、修理代が高いと言っても、ベンツやBMWやポルシェほどではないでしょうし。日米政府間で「合意」ができたことは、決裂して25%の煮湯を飲まされるよりはマシかと思うのは、やはり借家人の弱いところに相通じるものがあります。こんな比較でしか捉えられないところが一介の庶民なのだと思いますが、等身大の生活者の目線で世の中を見るのはあながち悪いことではないようにも思います。いろいろ大きなニュースもあって大変な1週間でしたが、通信社や他社から記事を買わないでオリジナルの新聞を出し続けるのには限界があります。でも、限界があるからこそ、そこまでベストを尽くせれば及第点でOKとも言えます。今週号もそんな紙面のオンパレードです。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)