編集後記
みなさん、こんにちは。トランプ政権のもとで、地方警察と連邦移民・関税執行局(ICE)の連携が急速に拡大しています。今週号の1面で報じています。背景にあるのが「287(g)協定」と呼ばれる制度で、連邦政府が地方警察や保安官事務所に移民法執行権限の一部を委任する仕組みです。訓練を受けた警官は、通常の警察活動のなかで移民資格の確認やICEへの引き渡しに関与できるため、スピード違反やテールランプ切れなどの軽微な交通違反が移民摘発のきっかけになるケースが増加しています。地方警察を利用してICEの手足を全米に広げた格好です。6月16日付ニューヨークタイムズ紙が大きく報じたその紙面を、マンハッタンに向かう朝の通勤電車の中で読んだ私は、携帯画像に合法滞在証明の写真がちゃんとあるか思わず確認してしまいました。
連邦政府は、地方機関の協力を促進するため、訓練費や人件費、残業代などを財政的に補助する制度も拡充しています。地方自治体にとっては財政支援を受けながら法執行能力を強化できるメリットがある一方、人種や民族的背景による職務質問が増えるのではないかとの懸念もあります。
特に南部を中心に広がっており、フロリダ州、ジョージア州では多数の郡保安官事務所や警察機関が参加しています。特にテキサス州では人口10万人以上の地域の機関は今年12月1日までに協定締結を求められるなど、単なる推奨ではなく、州法で事実上の参加拡大を進めています。全米では高速道路や一般道路が移民取締りの現場となる地域が増える一方、北東部では逆に地方警察と移民当局の取締りを分ける動きが強まっています。ニューヨーク州やニュージャージー州、コネチカット州などは移民保護政策を維持しており、連邦政府のこの一連の流れを拒否しており、南部州とは対照的です。
ニューヨーク州では、民主党が多数を占める州議会が地方警察による287(g)協定を禁止する法案を可決し、5月28日にホウクル知事が署名して成立しています。したがってニューヨーク市をはじめ同州の多くの自治体では、単に移民資格を理由として住民を拘束することは認められていませんが、一部の郡や自治体では連邦当局との協力事例があり、交通違反の取り締まりが結果的に移民摘発につながったケースが報告されています。なので、ニューヨークや、コネチカット、ニュージャージーでは、いきなり警察官に移民上の理由で職務質問されることはまずなさそうですが、他州に旅行したり、特に南部在住者は要注意でしょうか。アメリカに住んでいる日本人も合法滞在を証明できるものを常に携行していないといよいよ安全ではないそんなご時世になってきたようです。
長年の取材経験から言えるのは、もし万が一、警察官に職務質問された時は、反抗的な態度は絶対に禁物で、丁寧に対応すること。警察官は最初は控えめに、必ず最初は優しく話しかけてくるので、その間にきちんと納得のいく説明をして、礼儀正しく対応をしてことなきを得ることが肝心のようです。日本と違い、アメリカの警察官は、相手が犯罪者と分かった時点で狼に豹変します。あくまで、自分たちを犯罪から守ってくれている「おまわりさん」と市民という立場で応対するのがいいようです。それではみなさん良い週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)
