編集後記 6月12日

【編集後記】 みなさん、こんにちは。
毎週、水曜日の午後、印刷所で新聞を刷り終わるとそのあと夕方7時くらいまで、会社の相棒である久松の運転する車で、クイーンズの一部とマンハッタン内の日系スーパー、紀伊國屋書店などに2人で新聞の設置・配達をして回っています。電子版全盛のいまと言えど、紙の新聞は読者の手に渡って目に触れてなんぼの世界です。二人とも元の出身会社が、新聞社の中でも販売部が日本一強い、そして厳しい会社だったので、編集といえども、夜に会社に読者から「新聞がきてないぞ」という苦情がきたら、仕事の手を止め、マンハッタンなら社内にある新聞を持って飛んで行って届けたものです。それで読者は痛く感激してくれてまた愛読者になってくれます。その精神が骨まで(割と浅い方ですが)伝わっているので、配達中は体育会系のノリで「配達命」で頑張っている訳です。元ラグビー部ですし。コロナ以降この1年半、休業レストランでの新聞設置がなくなったので、配達業者を使わす、経費を節約してこうして二人で配達しています。今日も、相棒の久松は郊外へ出てて孤軍奮闘して配達しているはずです。一方、アメリカの新聞事情は変化してるようです。実は私は自宅でこの20年来ニューヨークタイムズを宅配で紙の新聞で読んでいます。ハリソンからグランドセントラル駅に向かうまでの45分は電車の中で朝刊を見てネタ探しです。ところが、この春から配達員が変わったのか、こともあろうに、1週間のうちに3回くらいは新聞が配達されません。土日は取ってないので週の半分は来ない計算です。今日も来ていません。カスタマーサービスにネットで連絡すると選択肢は2つ。「翌日配達」か「リファンド」かです。最初のうちは翌日配達のボタンを押してそれで済んでましたが、2週間ほどそんなことが続いたので「理由を知りたい」とチャット機能を使って書き込むと、答えは「配達地域の責任者に厳重に注意するので2度とこのようなことがないように気をつけます」という内容の長い、丁寧な返答がいく通りも違う表現で返って来ますが、私が知りたい肝心の理由については書かれていません。チャットの相手がAI のロボットであることに気がつくのに2週間くらいかかりました。機械相手のチャットではなくE メールで販売部に「長年新聞を購読しているがこんなひどいことは初めてだ。私が日本人だからこれはNYタイムズによる昨今流行りのアジアンヘイトなのか」とさすがに頭にきて書き込んだところ、すぐ今度は短い返事がきて、翌日からきちんと新聞が入るようになりました。しかし、今週になってまた来たり来なかったりの繰り返しです。新聞社も定期購読者の紙読者の激減で配達コストに以前の水準ではかけられなくなり、安い賃金で配達員を雇っているのかもしれません。それが原因で責任感のない、いいかげんなサービスしかできなくなってしまったのであれば悲しい限りです。しかも、ニューヨークタイムズはもう店頭販売をしていないので、街中のニューススタンド、書店でも紙の新聞を買うことができないのです。明日、また今日の新聞を1日遅れで読むことになります。小さな心配事、大きな心配事を乗り越えて「週刊NY生活」は今週号も無事に出ました。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)