【編集後記】
みなさん、こんにちは。ニューヨークで活動する日本人俳優のオゼキ・マイさんが、今年１月、ブロードウエーのニューワールドステージ劇場でプロの落語家としてデビューしました。昨年９月にカナダ生まれの落語家、桂三輝（桂サンシャイン）に弟子入りし、六代目桂文枝から「桂月輝（桂ムーンライト）」と命名されました。今月12日の満員御礼の会場でもニューヨーカーから大きな拍手をもらっていました。ブロードウエー初の日本人女性落語家の誕生として注目されそうです。彼女は、兵庫県神戸市出身。東京学芸大学卒業後、教職には就かず都内の一部上場企業に就職。二度目の転職も大手メーカーの営業推進本部に10年間勤務して海外出張もバリバリこなすビジネスウーマンだったそうです。同時に舞台役者としても東京で活動を続け、『熱海殺人事件』『幽霊が見えない部屋』ほか多数の作品に出演。企業人と役者の２足の草鞋を履く生活にピリオドを打ったのは2022年3月。来米してマンハッタンのＨＢ スタジオで２年間演劇を学んで卒業後の24年5月OPTを取得、本格的にＮＹで役者として活動開始。昨年7月には新作劇「VOICE」をプロデュースし、自ら主演を務めています。昨年夏に友人に誘われて桂三輝の英語落語高座に行って演目「ZOO（動物園）」を聞く。動物園のアルバイトに応募した男がライオンと檻で対決させられる仕事だとは知らずにトラの着ぐるみを着せられて檻に入る。ライオンが出てきて震え上がったところでライオンの口の中から声が聞こえ「大丈夫、俺もバイトだ」というオチ。一人の落語家と会場が一体になって盛り上がる落語のパワーに度肝を抜かれた。翌月、日本語版の落語公演も聞きに行き「ＮＹから世界に落語を広めたい、ＮＹで落語の一門を作りたい。誰か弟子になりたい人いませんか〜」というサンシャインの「噺のネタに引っかかって」面接したらまさかの採用。まだ見ぬ桂文枝大師匠から許しも出て、しかもムーンライトという素敵な名前もつけてもらった。「新婚さんいらっしゃい」の桂三枝時代からのファンだっただけに本人も大感激。桂文枝大師匠、三輝師匠、兄弟子と４人で揃ってNY落語公演をするのが夢だそうです。夢はかなえるために見るもの。いつかNYの客席からそんなステージが見れることを楽しみにしています。それでは、みなさんよい週末を。（週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一）
